組織内の重要なアカウントを不適切に共有してしまうと、
EMOTET(エモテット)とは、元々銀行のアカウント情報を盗む目的で作られたマルウェア(トロイの木馬)ですが、今ではサイバー犯罪を広めるためのツールとしてその機能が大きく進化しています。
このマルウェアは、本物のメールに偽装した悪意あるEメールを通じて広がり、受信者が添付ファイルを開いたりリンクをクリックしたりすることで基本的に感染します。
Emotetは感染後、他のマルウェアをダウンロードしてシステムにインストールし、その拡散能力と変幻自在に姿を変える特性により検出を避けます。これにより、Emotetはただのトロイの木馬以上の存在になり、ネットワークを通じて速く広がる大きなサイバー脅威となっています。また、他のマルウェア(ランサムウェア等)にも感染する可能性もあるので、とても危険なマルウェアとして認知されています。
そこで、このブログでは、Emotetの攻撃手法や、Emotetに感染すると起こる被害例、また身を守るための対策をご紹介します。
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Emotet(エモテット)の一般的な手口
Emotetの攻撃手法は、その多様性と進化する性質により、特に危険とされています。以下がEmotetの主な攻撃の手口です。
フィッシングメール
Emotetは、見た目が本物のメールとほとんど変わらないため、多くの人が騙されやすいです。これらのメールは、銀行からの通知、請求書、または仕事関連の文書のように見え、受信者を安心させるために正式な言葉遣いやロゴを使用することがあります。
そして、そこに悪意のあるリンクや添付ファイルが含まれており、ユーザーがこれらをクリックまたは開くと、マルウェアがダウンロードされます。
悪意のあるドキュメント
Emotetは、悪意のあるMicrosoft WordやExcelのドキュメントを使用する傾向があります。これらのドキュメントには、マルウェアをコンピューターにインストールするためのマクロ(自動化スクリプト)が隠されています。フィッシングメールの添付ファイルとして送信されるため、見た目は正式な文書に見え、信頼性を高めるためにはしばしば正当な企業や組織からのものと偽装されます。ユーザーがこれらのドキュメントを開き、マクロを有効にするよう促されたとき、もしマクロを実行すると、その瞬間に、Emotetマルウェアがダウンロードされ、システムに密かにインストールされます。
ネットワークの脆弱性の利用
Emote(エモテット)は、一度感染すると、そのマシンを足がかりとしてネットワーク内の他のコンピューターへと拡散する能力を持ちます。この過程で、Emotetは主に脆弱なパスワードや、ソフトウェアの更新が行われていないことによるセキュリティの弱点(セキュリティホール)を狙います。つまり、ユーザーが使用するパスワードが簡単であったり、システムやアプリケーションが最新のセキュリティパッチで更新されていない場合、Emotetはこれらの脆弱性を突いて感染を広げることができます。
Emotet(エモテット)が狙う対象とは?
Emotetは、その多様な攻撃手法で知られる高度なマルウェアであり、特に企業や組織、政府機関、教育機関、そしてセキュリティ意識が低い個人ユーザーをターゲットにしています。
- 個人ユーザー
- 企業
- 政府機関
- 医療機関
- 教育機関
企業や組織では、特に財務部門や人事部門が高リスクとされており、これらの部門の従業員は偽のドキュメントに騙されやすいとされています。また、政府機関は機密情報を保持しているため、公共のサービスへのアクセスを乗っ取ることを目的とした攻撃の標的になることもあります。教育機関も広範なネットワークと多数のユーザーを持つため、セキュリティ対策が不十分な場合、Emotetによる攻撃のリスクが高まります。個人ユーザーの中では、特にフィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックする傾向がある人々が感染の危険にさらされています。
Emotetは感染したシステムを通じて他のマルウェアを配布したり、感染ネットワークを利用してさらなる攻撃を仕掛ける能力があるため、幅広いターゲットにとって非常に危険です。
Emotet(エモテット)に感染すると起こる被害
Emotetに感染すると、多岐にわたる被害が発生する可能性があります。このマルウェアは非常に複雑で、他のマルウェアを配信するプラットフォームとしても機能するため、感染したシステムやネットワークにとって深刻なリスクをもたらします。以下に、Emotetによって引き起こされる典型的な被害をいくつか挙げます。
個人情報の窃盗
Emotetマルウェアは、キーロガー(キーストロークを記録するプログラム)などの他のマルウェアを利用して、感染したコンピューターのユーザーから機密性の高い個人情報を盗み出します。これにより、銀行口座のログイン情報、クレジットカードの詳細、メールアカウントのパスワードなど、貴重なデータが犯罪者の手に渡ることになります。この情報は、金銭的な盗難、身元の偽装、その他の詐欺行為に利用される可能性があります。
追加マルウェアのダウンロード
Emotetがコンピューターに侵入すると、そのシステムをさらなる攻撃のための入り口として利用します。具体的には、Emotetは自身を通じて、さまざまな種類の追加マルウェアやランサムウェアをダウンロードし、感染したマシン上で実行する能力を持っています。これにより、最初のEmotetの感染だけでなく、新たにダウンロードされるマルウェアによって、システムが多角的な脅威にさらされることになります。
ランサムウェアへの感染
Emotetマルウェアがコンピューターに侵入すると、ランサムウェアを含む他の危険なマルウェアをダウンロードして実行する能力を持っています。ランサムウェアに感染すると、コンピューター上の大切なファイルやデータが暗号化され、もはやアクセスできなくなります。犯罪者は、これらのファイルを元に戻すために、被害者に対して身代金の支払いを要求します。身代金は通常、追跡が難しい仮想通貨で求められることが多く、支払ってもファイルが復号される保証はありません。特にランサムウェアは、中小企業のビジネスを倒産にまで追い込んでしまうほど、大きな脅威になっています。
ネットワーク内での拡散
Emotetは、自己増殖するワーム機能を持っており、一度ネットワーク内のあるマシンに感染すると、そこから他のマシンへと迅速に広がる能力があります。これは、ネットワーク上のセキュリティが弱い部分や、ソフトウェアの未更新による脆弱性を見つけ出し、それを利用することで行われます。このプロセスにより、短時間のうちに企業や組織の多くのコンピューターが感染し、重要なデータが危険にさらされる可能性があります。
Emotet(エモテット)を対策する方法
Emotetに対する対策は、その多様な侵入手法と悪質な活動を考慮に入れた包括的なアプローチを必要とします。以下は、Emotetの脅威から保護するための主要な対策方法です。
強力なパスワードポリシーの実施
脆弱なパスワードは、Emotetのようなマルウェアにとって、システムへのアクセスを容易にする侵入口になります。そのため、複雑で予測しにくい強力なパスワードの使用と、これを定期的に更新することが、感染リスクを減らす上で非常に重要です。
このようなパスワードを効率的に作成し管理するためには、パスワードマネージャーの利用を推奨します。パスワードマネージャーは、強力なパスワードを自動的に生成し、それらを安全に保存してくれるツールです。これにより、複雑なパスワードを覚える必要がなくなり、ユーザーは一つの強力なマスターパスワードを記憶しておくだけで済みます。パスワードマネージャーはまた、定期的なパスワードの変更を促すリマインダー機能を持っているものもあり、セキュリティ維持の手間を軽減します。
二要素認証(2FA)や多要素認証(MFA)の導入
二要素認証(2FA)や多要素認証(MFA)の導入は、Emotetをはじめとするマルウェア攻撃に対する重要な防御策の一つです。二要素認証は、ユーザー名とパスワードだけでなく、もう一つの認証手段を加えることでセキュリティを強化します。この追加の認証手段には、SMSやメールによって送られる一時的なコード、認証アプリによって生成されるコード、または物理的なセキュリティキーが含まれます。Emotetを含む多くのマルウェアは、盗まれた認証情報を使用してシステムに侵入しますが、2FAが導入されている場合、攻撃者がユーザー名とパスワードを手に入れたとしても、追加の認証手段がなければアクセスは困難になります。これにより、不正アクセスのリスクが大幅に低減されます。
ウイルス対策ソフトウェアの利用と更新
ウイルス対策ソフトウェアは、Emotetを含むあらゆる種類のマルウェアからシステムを保護するための基本的かつ効果的なツールです。ウイルス対策ソフトは、既知のマルウェアのシグネチャ(特徴的なパターン)を基にして悪意あるファイルやプログラムを検出し、隔離または削除することができます。しかし、新しい脅威は絶えず出現しており、ウイルス対策ソフトも定期的な更新を必要とします。最新のマルウェアのシグネチャや挙動を認識し、適切に対応するためには、ソフトウェアのデータベースを常に最新の状態に保つことが重要です。また、ウイルス対策ソフトはリアルタイム保護機能を備えており、システム上でのファイル操作を監視し、悪意のある活動を即座に検出して対処することが可能です。
不審なメールに警戒する
Emotetは主にフィッシングメールを通じて拡散します。これらのメールは、受信者に正規の組織や個人からのものと見せかけ、添付ファイルの開封やリンクのクリックを促します。不審なメールに警戒することは、Emotetの感染を防ぐ上で非常に重要です。
フィッシングメールを識別するためには、以下の点に注意することが推奨されます。
・メールの送信元を確認する
・不審な点がないか検証する
・予期しない添付ファイルやリンクが含まれている場合は開かない
・メールの文脈や表現に違和感がある場合は何度も確認する
これらの点を徹底して、確認しましょう。
従業員のサイバーセキュリティ教育
従業員のサイバーセキュリティ教育は、マルウェア感染のリスクを大幅に減少させることができます。このトレーニングには、プリテキスティングの見分け方、フィッシング詐欺の一般的な特徴や、不審なメールやリンクを安全に扱う方法について教育します。たとえば、正式に見えるが疑わしいメールの送信元を確認する方法、添付ファイルを開く前に確認すべきポイント、信頼できるソースからのみダウンロードを行うべき理由などが含まれます。
教育プログラムには、実際のフィッシング詐欺の例を示し、従業員が実際にこれらの試みをどのように識別できるかを学ぶ実践的な演習も組み込まれていると効果的です。
まとめ:Emotet(エモテット)対策をしよう
Emotetから身を守るためには、警戒心を持ち、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。強力なパスワードの設定、2FAやMFAの導入、ウイルス対策ソフトの利用とその定期的な更新、そして不審なメールに対する警戒心は、この脅威から私たちを守るための重要なステップです。これらの対策を実施することで、Emotetによる攻撃のリスクを大幅に減らす事ができます。
また、パスワードマネージャーの使用は、Emotetをはじめとするサイバー攻撃から保護するための非常に効果的な手段です。パスワードマネージャーを使用することで、強力かつユニークなパスワードを各アカウントごとに簡単に生成し、管理することができます。これにより、複数のサイトやサービスで同じパスワードを使い回すリスクを排除し、もし一つのアカウントが侵害されても他のアカウントが危険にさらされることがなくなります。パスワードマネージャーは、セキュリティを強化する上で非常に価値のあるツールです。
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