サイバー犯罪者は、セキュリティリソースが限られている
公開日: 2025年9月26日
さまざまなサイバー攻撃の脅威から機密情報を保護するうえで、認証は重要な要素です。 以前はユーザー名とパスワードのみで十分だったかもしれませんが、最新のサイバー攻撃から身を守るには、追加の認証方法が不可欠です。 2要素認証 (2FA) と多要素認証 (MFA) の主な違いは、ユーザー名とパスワードの他に必要な認証方法の数が、2FAでは1つであるのに対し、MFAでは2つ以上である点です。
以下では、認証の概念、2FAとJFAの違い、各ユーザーに最適な認証方法をご紹介します。
認証とは
認証とは、ユーザーが本人の主張するとおりの人物であることを確認するプロセスです。 メールアカウントにログインする際にユーザー名とパスワードを入力することは基本的な認証形式の一例です。 ただし、より高度なサイバー攻撃の脅威に対してオンラインの安全を確保するには、追加の認証レイヤーを使用する必要があります。
次に、2要素認証と多要素認証の相違ですが、理解するには認証要素別に4つに区別される認証タイプを前提として知っておく必要があります。
- ユーザーが知っている要素: パスワード、PIN、セキュリティの質問。
- ユーザーが所有している要素: 物理的または仮想的なトークン。例えばワンタイムパスワード (OTP) または 時間に基づく1度限りのパスワード (TOTP)。
- ユーザーに固有の要素: 生体認証データ。例えば指紋やFace ID。
- 居場所に基づく要素: 特定の地理的な場所にいる場合にのみアクセスできるアプリやサービス。
2要素認証とは
2要素認証 (2FA) では、アカウントやシステムにアクセスするために2つの異なる認証要素を提供する必要があります。 この仕組みにより、パスワードなど認証要素の一方が侵害されても2つ目の要素によって不正アクセスを防止できます。 2要素認証では通常、ユーザーが知っている情報 (パスワードなど) と所有している情報 (OTPコードなど) を組み合わせます。
多要素認証とは
多要素認証 (MFA) はアカウントやシステムにアクセスするためにユーザー名とパスワードに加えて2つ以上の追加要素を必要とする認証形式です。 2要素認証は2つの要素を使用する多要素認証の一種ですが、多要素認証では2つから4つの認証要素を使用できます。 多要素認証は通常、1つか2つのセキュリティレイヤーだけでは不十分な機密システムの保護に使用されます。
2要素認証と多要素認証の違い
2要素認証と多要素認証は密接に関連していますが、認証要素の数に大きな違いがあり、 2要素認証で使用される要素はきっかり2つで、通常はユーザーが知っている要素と所有している要素が組み合わされます。 一方、多要素認証では2つ以上の認証要素が使用されます。 2要素認証で使用されるもののほかに、ユーザー固有の要素 (生体認証) と居場所に基づく要素 (位置ベースの認証) を追加するなどしてセキュリティを強化できます。
簡単に言うと、すべての2要素認証は多要素認証に該当しますが、すべての多要素認証が2要素のみに限定されるわけではありません。
| Feature | Two-Factor Authentication (2FA) | Multi-Factor Authentication (MFA) |
|---|---|---|
| Number of factors used | Exactly two | Two or more |
| Security level | Stronger than passwords alone | Stronger than 2FA, depending on how many additional factors are used |
| Use cases | Social media, banking, online shopping | Corporate systems, healthcare, government |
| Examples | Password with a TOTP code | Password with an authenticator app and Face ID |
多要素認証は2要素認証よりも安全か
多要素認証は、ユーザー名とパスワード以外にも複数の認証要素を追加できるため、一般的に2要素認証よりも安全です。 多要素認証として認められるには、各要素が異なるタイプ (知っている要素、所有している要素など) でなければなりません。 例えば、パスワードとPINはいずれも知っている要素のタイプに属するため、多要素認証にはなりません。 一方、パスワード、OTPコード、指紋スキャンは、それぞれ異なるタイプの要素であるため、多要素認証の正しい実例となります。
とはいえ、2要素認証 (2FA) はパスワードのみを使用するよりもはるかに安全であるうえ、 対応範囲も広く、ほとんどのアプリやオンラインプラットフォームで利用できます。 多要素認証ほど高い保護は提供しないものの、多要素認証を利用できない場合は、2要素認証を必ず有効にしましょう。
2要素および多要素によるお勧めの認証方法
以下は当社が推奨している安全性の高い認証方法です。
- ハードウェアセキュリティキー: セキュリティキーは、ユーザーの身元の確認にしようされる物理的なデバイスです。 例えば人気のあるYubiKeyは、小さなUSBドライブのような形状をしており、 デバイスに差し込むかタップすると、アプリ、アカウント、システムへのアクセスが認証されます。 セキュリティキーは物理的に所持する必要があるため、多くのオンライン攻撃から強力に保護します。
- 生体認証: 生体認証では身体的特徴に基づいて身元を確認します。 指紋スキャン、顔認識、虹彩スキャンなどがよく使用されます。 これらの方法ではユーザーの身体の一部が使用されるため、偽造したり盗んだりすることがほぼ不可能であり、きわめて安全な認証方法です。
- 認証アプリ: 認証アプリはスマートフォンでTOTPを生成します。 アカウントにリンクされている場合は、アプリからのコード (Google認証システム、Authy、Microsoft Authenticatorなど) を入力してログインする必要があります。 TOTPでは通常30秒ごとに期限が切れるため、変動的なセキュリティ層がログインプロセスに追加されます。
SMSコードが最適な認証方法ではない理由
2要素認証というとテキストメッセージ (SMS) でコードを受け取る方法を思い浮かべる人が多いですが、この認証方法はSIMスワップやフィッシングなどの手口でサイバー犯罪者に情報を奪われる可能性があるため、安全性に欠けます。 SMS認証は手軽さからよく利用されますが、より安全な代替手段をお探しの場合は、Keeper®などのパスワードマネージャーの使用を検討しましょう。 Keeperをはじめとする最新のパスワードマネージャーには、TOTPのサポートが組み込まれています。つまり、テキストメッセージを使用したり、認証アプリを別途使う手間をかけたりせずに、2要素認証コードを保存してアクセスできます。 さらに、ボルトに保存されているアカウントへのアクセスを共有すると、2要素認証も共有できるため、共同作業と機密情報へのアクセスが容易になります。
認証を追加してオンラインアカウントの保護を強化する
2要素認証と多要素認証はいずれもセキュリティ層を追加することで、アカウントへの不正アクセスリスクを大幅に低下させる重要なセキュリティ対策です。 2要素認証はパスワードのみよりも安全性が高いものの、多要素認証の方が認証要素のタイプも数も多くなるため、保護をさらに強化できます。 個人のオンラインアカウントから職場の基幹システムまで、2要素認証や多要素認証を有効にするのは、データを簡単かつ効果的に保護する方法となります。
よくある質問
Which is better, MFA or 2FA?
多要素認証 (MFA) は、2つ以上の種類の認証要素を使用するため、サイバー犯罪者がアカウントにアクセスする難度が上がります。そのため、一般的に2要素認証 (2FA) よりも保護能力に優れています。 使用される認証要素は、2要素認証ではきっかり2つですが、多要素認証では生体認証や位置ベースの認証など、3つ以上の要素を使用して保護を強化できます。 ただし、2要素認証と多要素認証はどちらもパスワードだけを使用するよりもはるかに安全なので、可能な限りどちらかを有効にするとよいでしょう。
What is the strongest form of MFA?
最も強力な多要素認証形式では、ユーザーが知っている要素、ユーザーが所有している要素、ユーザー固有の要素、ユーザーの居場所に基づく要素の4種類すべてが組み合わされます。 例えば、強力な専用パスワードに、セキュリティキー、生体認証、位置ベースを認証要素として組み合わせると、物理的デバイスの所持、ユーザー固有の生物学的特徴、特定の場所に居ることが必要となるため、保護レベルが格段に高まり、サイバー犯罪者にとって難攻不落の砦となります。
Is 2FA unhackable?
いいえ、2要素認証 (2FA) はハッカーに見破られる可能性があります。 ユーザー名とパスワードよりもアカウントのセキュリティは向上しますが、SMSコードなどの一部の方法はフィッシング攻撃やSIMススワップに対して脆弱です。 認証アプリやセキュリティキーなど、安全度の高い要素を使用すると、セキュリティリスクは軽減しますが、完全に鉄壁とは言えません。