経済産業省は、サプライチェーン全体の安全性を確保する
公開日: 2025年5月16日
スマートテレビは、単なるエンターテインメント機器の枠を超えて進化しており、 今や、モノのインターネット (IoT) デバイスという広範なネットワークの構成要素として、家庭内の他のスマートデバイスの管理・制御に役立っています。 NETGEARとBitdefenderの2024年のレポートによると、スマートテレビはサイバー攻撃に対して最も脆弱なデバイスと認識され、IoTデバイス全体の31%を占めています。 異常な動作、奇妙なポップアップ、プライバシー設定の変更、パフォーマンスの低下、アカウントへの不正アクセス、強制リダイレクトなどに気付いた場合、スマートテレビはハッキングされている可能性があります。
以下では、スマートテレビのハッキング被害を示す6つの兆候と、安全に保護するためのヒントをご紹介します。
1. 異常な動作
スマートテレビの動作が不規則になり始めることは、問題があることを示す重要な兆候です。 例えば、自動的にオンとオフに切り替わったり、チャンネルが変わったり、音量が調整されたり、入力せずにアプリが開いたりといった動作が考えられます。 ハッカーは遠隔地からスマートテレビを操作して、被害者を偵察したり、自宅にある他のIoTデバイスを攻撃したりできます。 米国ミルウォーキーのカップルは実際にこの被害に遭いました。帰宅するとスマートサーモスタットが32°Cに設定され、スマートスピーカーから奇妙な声が流れていたのです。
対処策
- スマートテレビに不正なデバイスが接続されていないかどうか確認する。
- 不要なソフトウェアを削除するために、テレビを工場出荷時の設定に戻す。
2. 奇妙なポップアップやメッセージ
スマートテレビの画面に見慣れないポップアップやメッセージが表示され始めるのは、ハッキング被害の可能性を示すもう一つの兆候です。 他のスマートデバイス同様、スマートテレビはマルバタイジング、フィッシング詐欺、マルウェアに対して脆弱です。 奇妙なポップアップが不審なリンクのクリック、ソフトウェアのダウンロード、個人情報の入力を求める場合があります。 例えば、「テレビがウイルスに感染しており、ウイルスを除去するためにソフトウェアのインストールが必要です」というメッセージが表示されることがあります。 ただし、実際にメッセージに対処すると、意図せずに重大なセキュリティ上の問題に巻き込まれる可能性があります。
対処策
- ポップアップや疑わしいリンクは絶対にクリックしない。
- テレビメーカーのサポートに異常な活動について報告する。
3. プライバシー設定の変更
ログイン認証情報の変更や、承認していないデータ共有権限など、プライバシー設定の変更もスマートテレビが侵害された兆候となります。 例えば、以前に無効にしたマイクが再び有効になっていることに気付く場合が挙げられます。 ハッカーはスマートテレビを使ってこうした設定を操作して個人データを収集したり、被害者の習慣を監視したり、マイクを作動させて会話を盗聴したりできます。
4. パフォーマンスの低下
テレビのパフォーマンスが突然低下した場合、何らかの問題が発生している可能性があります。 ハッカーがデバイスにマルウェアをインストールするか、自由に操作できるようになった場合、バックグラウンドで不正なソフトウェアを実行することで速度が低下する可能性があります。 メニューの操作中に応答時間が遅くなったり、コンテンツのストリーミングが困難になったり、画面が完全にフリーズしたりするのに気付くかもしれません。 パフォーマンスの低下は、古いソフトウェアや不安定なネットワーク接続が原因である場合もありますが、問題が持続するか頻発する場合は、さらなる調査が必要です。
対処策
- ソフトウェアのアップデートがないか確認し、あればインストールする。
- 使っていないアプリや見覚えのないアプリは削除する。
5. アカウントへの不正アクセス
多くのスマートテレビは個人データを保存するアプリやアカウントにリンクされているため、ハッカーにとって貴重な標的となります。 デバイスには、ストリーミングサービス、ソーシャルメディア、オンラインショッピングなどさまざまなアカウントがリンクされていますが、こうしたアカウントへの不正アクセスもスマートテレビのハッキング被害を示す主な兆候となります。 例えば、ストリーミングプラットフォームを開くと、視聴履歴にこれまで見たことのない番組が表示されている場合が考えられます。 コンテンツの視聴や未承認の購入に気付いた場合、ハッカーがスマートテレビを通じてアカウントにアクセスした可能性があります。
対処策
- スマートテレビにリンクされているすべてのアカウントのパスワードを変更する。
- アカウント活動で不正な変更の有無を監視する。
- より簡単に保護できるようにパスワードマネージャーでストリーミングアプリを管理する。
6. 強制リダイレクト
スマートテレビで見慣れないウェブサイトやアプリにリダイレクトされ始めることも、ハッキング被害の兆候となります。 ハッカーは強制リダイレクトを使用して、偽装ウェブサイト、フィッシングページ、およびデバイスにマルウェアをインストールするサイトに誘導します。 スマートテレビで正規のアプリを開こうとしたときにリダイレクトが発生し、別のページに自動的に移動することがあります。 例えば、YouTubeを開こうとすると、代わりに怪しげなウェブサイトにリダイレクトされ、ビデオを見るために「必要な」プラグインのダウンロードを促される可能性があります。
対処策
- 疑わしいタブはすぐに閉じ、リダイレクトされたページでは一切操作しない。
- スマートテレビのインターネット接続をリセットし、接続されているデバイスを確認する。
スマートテレビのハッキング手法
ハッカーがスマートテレビをハッキングする手法として、セキュリティ脆弱性の悪用、悪意のあるアプリのインストール、安全でない公共Wi-Fiの使用、USBデバイス経由でのマルウェアの感染などが考えられます。
セキュリティ脆弱性の悪用
スマートテレビの実行基盤となるRokuやAndroidなどの特定のオペレーティングシステムには脆弱性が含まれている場合があります。 実際、2018年のコンシューマーレポート (米国の消費者情報誌) で、何百万台ものSamsungとRokuのスマートテレビが、パッチの適用されていないセキュリティ脆弱性を悪用するハッキングに脆弱であると報告されました。 ソフトウェアが自動更新されるような設定になっていない場合や手動更新がタイムリーに実行されない場合、セキュリティの脆弱性をハッカーに悪用されるリスクがあります。 ハッカーがスマートテレビを自由に操作できるようになると、個人情報にアクセスする以外に、ホームネットワーク上の他のIoTデバイスに侵入することも可能になります。 セキュリティリスクを最小限に抑えるには、テレビのソフトウェアを定期的に更新することが重要です。
悪意のあるアプリのインストール
スマートテレビのセキュリティ面での最大の脅威の一つが悪意のあるアプリのダウンロードです。 スマートテレビ用のApp Storeは通常安全ですが、悪意のあるアプリが審査プロセスをすり抜ける可能性があります。 ハッカーは個人情報の収集、ユーザー活動の追跡、マルウェアの感染といった目的が果たされるように一見正当に見えるアプリを設計します。 これらのアプリにより、ハッカーはスマートテレビにリモートアクセスできるようになり、スパイウェアで視聴習慣を監視したり、デバイスを使ってホームネットワークに接続されている他のIoTデバイスを攻撃したりできます。 スマートテレビにインストールするアプリには常に目を光らせ、不要または疑わしいと思われるアプリは避けてください。
安全でないWi-Fiネットワークの利用
スマートテレビはインターネットへの接続にWi-Fiを使用するため、ネットワーク保護が不十分な場合はハッキングされる危険性があります。 脆弱なパスワードを使用したり、ルーターのパスワードをデフォルトのまま放置したりすると、ハッカーがネットワークに侵入し、中間者攻撃 (MITM) を通じて機密データを傍受しやすくなります。 ハッカーはネットワークに侵入すると、スマートテレビのセキュリティの弱点をついて、デバイスを自由に操作し、個人データにアクセスできます。 強力なパスワードと暗号化で自宅のWi-Fiネットワークを保護し、ハッカーによる悪用を阻止しましょう。
USBドライブや外付けドライブ経由でのマルウェアの感染
多くのスマートテレビには、フラッシュドライブ、ハードドライブ、ゲームデバイスなどの他のデバイスを接続可能なUSBポートが付属します。 ただし、感染しているUSBデバイスをポートに接続すると、マルウェアの侵入口となる可能性もあります。 ハッカーがマルウェアを注入したUSBドライブは、スマートテレビに接続されると感染源となる危険性があるのです。 侵入したマルウェアは、ユーザーの活動を追跡したり個人情報を盗んだりするのに利用されます。 このリスクを軽減するため、信頼できない入手元からのUSBデバイスは使用しないこと、外部デバイスをスマートテレビに接続する前にウイルス対策ソフトウェアでスキャンすることを徹底しましょう。
フィッシング攻撃
ハッカーはフィッシング手口を使って、標的から個人情報を騙し取ったり、悪意のあるソフトウェアをインストールさせたりします。 スマートテレビを舞台とするフィッシング攻撃では、システムアラートやソフトウェアアップデートのプロンプトを模倣した偽のポップアップメッセージで、 リンクのクリック、ログイン認証情報の入力、アップデートのダウンロードが求められます。 このメッセージの指示に従ってしまうと、誤ってマルウェアをインストールしたり、ハッカーにスマートテレビへのリモートアクセスを許可したりする可能性があります。 スマートテレビに一方的に表示されるポップアップは決して信用せず、常に公式な情報源で通知の正当性を確認してください。
スマートテレビをハッカーから保護する方法
スマートテレビは適切に保護しないと、ハッカーにとって有力な侵入口になる可能性があります。 幸い、スマートテレビにセキュリティ対策を講じて個人情報の悪用を防ぐために実行可能な手順がいくつかあります。
ソフトウェアを更新する
スマートテレビのメーカーは、性能向上、セキュリティパッチ、バグ修正を含むソフトウェアの更新版を定期的にリリースします。 こうした更新版で安全を確保するために、デバイス設定で自動更新を有効にするか、手動で更新版の有無を確認してください。 更新版が利用可能になったらすぐにインストールし、スマートテレビを再起動して更新が適用されるようにします。
強力な専用パスワードを使用する
多くのスマートテレビではストリーミングサービスとアプリをリンクできます。ただ、リンクされたアカウントはハッカーの格好の標的となり、 脆弱であるか、他のアカウントから転用されたパスワードを使用している場合、侵害されたスマートテレビを通じてハッカーにアクセスされる危険性があります。 スマートテレビを保護するには、ハッカーに解読されにくい長くて複雑なパスワードを作成しましょう。 強力なパスワードは、16文字以上で、大文字と小文字、数字、記号を組み合わせる必要があります。 パスワードマネージャーでは、各アカウント専用のパスワードが安全に生成・保存されるため、利用をお勧めします。
ルーターを安全に保護する
スマートテレビはWi-Fi経由でインターネットに接続するため、保護されていないルーターがあると、ネットワークや他のIoTデバイスへの侵入口として悪用されるおそれがあります。 ルーターを保護してネットワークの安全を確保するには、デフォルトのユーザー名とパスワードを変更し、WPA3暗号化を有効にします。 ルーターのファームウェアを定期的に更新すると、既知のセキュリティ脆弱性からスマートテレビを保護し、ハッカーによるデバイス侵入リスクを軽減できます。
セキュリティ機能を有効にする
ほとんどのスマートテレビには、有効にすると保護を強化可能なセキュリティ機能が組み込まれています。 例えば、設定やアプリへのアクセスを制限するパスワード保護、共有使用のためのゲストモードの有効化、データ共有権限の調整を通じた第三者への送信データの制限といったセキュリティ機能が挙げられます。 使用していないときに音声制御やマイクへのアクセスを無効にできるスマートテレビもあります。 これらの設定を定期的に見直し、調整して、スマートテレビを可能な限り安全に保ちましょう。 動作やアクティビティに不審な点がある場合は、工場出荷時の設定に戻すことをお勧めします。
スマートテレビのハッキング被害を防ぐ
スマートデバイスが日常生活に深く浸透するなか、ハッキング防止は重要な課題となっています。 ソフトウェアの更新、強力なパスワードの使用、ルーターの保護、組み込みセキュリティ機能の有効化といった保護策を講じることで、スマートテレビをハッキングリスクから遠ざけることができます。
よくある質問
Can someone see through your smart TV?
スマートテレビの内蔵カメラが侵害されている場合、スマートテレビを通じて知らないうちにハッカーから生活をのぞき見られる可能性があります。 カメラが搭載されていない機種もありますが、搭載されている場合は、適切なセキュリティ設定を有効にしてください。 プライバシーを保護するには、設定でカメラを無効にしたり、レンズを物理的に覆ったり、不審な動きがないか定期的にチェックしたりしましょう。
Can your smart TV be hacked even if it isn’t connected to WiFi?
可能性は低いですが、ハッキングされるリスクはあります。 ハッカーは、感染したUSBドライブやHDMIケーブルといった物理的なデバイスとの接続を通じて、セキュリティの脆弱性を悪用することがあります。 マルウェアはインストールされた時点でスマートテレビがWi-Fiに接続されていた場合、オフラインでも実行を続け、デバイスに感染する可能性があります。
How can you see who is connected to your smart TV?
デバイスのメニューでネットワークまたは接続設定を確認すると、接続中のユーザーを確認できます。 一般的なスマートテレビにはWi-FiまたはBluetooth経由で現在接続中のデバイス一覧が表示されます。 また、ホームルーターの管理設定で、ネットワークに接続中のデバイスリストを確認すると、なじみのないデバイスを発見するのに役立ちます。 ユーザーかデバイスに不審な点がある場合は、接続を遮断して、Wi-Fiパスワードを変更しましょう。