BYOD(Bring Your Own Device)は、自前のデバイス持ち込みという意味で働く場所と時間の自由度を高め、社員の満足度を向上させる画期的な取り組みです。一方で、セキュリティの観点からは一筋縄ではいかない側面もあります。
パンデミック以降、テレワークなどの働き方もより広まり、BYODを実行している会社も多くなりました。
自分のスマートフォンやタブレット、ラップトップを仕事に使うことの便利さや柔軟性の裏には、企業と従業員の双方にとって無視できないリスクが存在します。
そこで、この記事では、BYODのセキュリティのリスク、メリット、デメリットなど気になる点をご紹介します。
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BYODとは何か?
BYOD、つまり「Bring Your Own Device(自前のデバイス持ち込み)」は、従業員が自分のスマートフォン、タブレット、ラップトップなどの個人的なデバイスを職場に持ち込み、仕事で使用することを許可する企業方針です。この考え方は、働く場所や時間に柔軟性を持たせ、従業員の生産性や満足度を高めることを目的としています。例えば、自宅やカフェ、移動中など、オフィス外でもお気に入りのデバイスを使って仕事を進めることができます。BYODは、従業員が慣れ親しんだデバイスを使用できるため、研修の時間やコストを削減し、作業の効率化を図ることができるとされています。
企業がBYODを導入するメリット
ここでは、企業がBYODを導入する主なメリットをいくつかご紹介します。
コスト削減
企業のBYODの導入における最大のメリットの一つが、コスト削減です。
従業員が自分のデバイスを使用することにより、企業はハードウェアの購入費用やその更新、保守費用を節約できるだけでなく、ITサポートの負担も軽減されます。
生産性の向上
生産性の向上はBYODポリシーの中心的なメリットの一つです。従業員は自分のデバイスに慣れ親しんでおり、その操作方法や機能を熟知しています。これにより、新しいデバイスやソフトウェアに対する研修の時間や労力を節約でき、従業員はすぐに業務に取りかかることができます。また、従業員は自分に合ったアプリケーションやツールをデバイスにインストールしてカスタマイズできるため、仕事の進め方を自分の好みや作業スタイルに合わせて最適化することができます。
柔軟な勤務体制をしやすくなる
柔軟な勤務体制の実現は、BYODの大きなメリットの一つです。BYODはリモートワークやフレックスタイム制の導入を促進し、従業員が自宅や外出先など、好きな場所で仕事をする自由を提供します。また、従業員は自分の生活リズムや個人的な責任に合わせて、労働時間を柔軟に調整できるため、仕事と私生活のバランスを取りやすくなります。このような柔軟性は従業員のストレスを軽減し、仕事に対する満足度とモチベーションを向上させます。
企業がBYODを導入するデメリット
ここでは、反対に企業がBYODを導入する主なデメリットをいくつかご紹介します。
従業員のプライバシー問題
従業員のプライバシー問題はBYODポリシーを導入する企業にとって重要な考慮点です。企業が従業員の個人デバイスにアクセスしたり、データを監視したりする際には、従業員のプライバシーを尊重し、信頼を損なわないよう特に注意が必要です。このため、従業員と企業の間で、どのデータが監視・管理されるかについての明確な合意形成が求められます。合意形成のプロセスでは、従業員に対してBYODポリシーの詳細を明確に説明し、どのような監視が行われ、その目的が何であるかを理解してもらうことが重要です。
セキュリティリスクの増加
個人デバイスの使用は、データ漏洩、マルウェア感染、ネットワークの脆弱性などのセキュリティリスクを高める可能性があります。従業員のデバイスが適切なセキュリティ対策を欠いていたり、安全でないネットワークを使用していたりする場合、企業の機密情報が危険にさらされることがあります。
企業のコンプライアンス遵守が複雑化
コンプライアンス遵守の複雑化はBYODを導入する上で大きな課題の一つです。法規制や業界基準への準拠は、個人デバイスの使用が普及する中で、より一層複雑かつ困難なものとなります。企業は、個人デバイスに保存される可能性のある企業データを保護し、適切に管理するための明確で包括的なポリシーと手順を策定する必要があります。このプロセスには、データの暗号化、アクセス制御、データ保持および削除ポリシーの定義が含まれます。
IT部門のデバイス管理が複雑化
デバイス管理の困難さは、BYODを導入する企業が直面する主要な挑戦の一つです。従業員が多種多様なデバイスを使用することで、IT部門の負担は顕著に増加します。これは、異なるブランドやモデルのデバイスがそれぞれ異なるオペレーティングシステムやアプリケーションを要求するためです。それにより、IT部門はこれら多様なシステムを適切にサポートし、トラブルシューティング、アップデートの管理、セキュリティ対策の適用などを行う必要があります。
BYODを導入する企業の背景
日本のテレワークを推進している多くの企業では、BYOD(Bring Your Own Device)という企業も少なくはありません。
BYODを導入する企業の背景には、複数の動機や状況があります。そこで、どんな背景があるのかいくつかご紹介します。
テクノロジーの進化
スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスが急速に普及し、高性能化しています。多くの従業員が個人的なデバイスを日常生活で活用しており、それらを仕事でも使用したいと考えるのは自然な流れです。これにより、従業員は個人的なデバイスの利便性と快適さを仕事に取り入れることができ、一方で企業はデバイスの多様性に対応し、新しい働き方を支援することが可能になります。
働き方の多様化
働き方の多様化は、従業員にとってよりバランスの取れたライフスタイルを可能にしますが、それには適切な技術的支援が不可欠です。個人のデバイスを利用することで、従業員は出先、自宅、あるいはカフェからでも簡単に業務にアクセスできるようになります。この柔軟性は、従業員のワークライフバランスを向上させるだけでなく、緊急時の対応能力や時間外での業務遂行能力を高めることにもつながります。
BYODのセキュリティリスク
BYODは多くのメリットをもたらしますが、それとは反対に、セキュリティ面でいくつかのリスクをもたらします。ここでは、BYODにどんなセキュリティリスクがあるのかいくつかご紹介します。
情報の盗難または紛失に繋がる危険
情報の盗難または紛失は、BYODのセキュリティリスクとして懸念される点です。個人デバイスが盗まれたり紛失したりすると、それに格納されている機密情報や企業データが第三者の手に渡る可能性があります。従業員が外出中や移動中にデバイスを置き忘れたり、盗まれたりすることは決して珍しいことではありません。このような事態が発生すると、企業の内部情報が漏えいするリスクが高まり、それによって企業の評判や顧客の信頼を損なうことに繋がります。さらに、この情報が競合他社や悪意のある攻撃者の手に渡れば、企業の戦略的利益に重大な損害を与える可能性もあります。
マルウェア感染
BYODにおけるマルウェア感染のリスクは、従業員が私用で使用するデバイスに対するセキュリティ対策が企業の管理下にあるデバイスほど厳格ではない場合、特に危険です。従業員が個人的に利用する際に不適切なウェブサイトを訪れたり、安全でないアプリをダウンロードしたりすることで、マルウェアに感染するリスクが高まります。このようなマルウェアは、デバイスを通じて企業ネットワーク内に侵入し、機密情報を盗み出したり、システムを破壊したりする可能性があります。それだけではなく、近年被害が増加しているのは、ランサムウェアによる被害もあります。
さらに、マルウェアの中にはしばしばスパイウェアと呼ばれる、背後で静かに動作し、感染していることに気付かないまま長期間にわたってシステム内に留まることがあります。この間に機密データを外部に送信したり、他のデバイスへと拡散したりすることがあり、企業に甚大な損害を与えるリスクもあります。
シャドーITによるデータ漏洩のリスク
BYODのセキュリティリスクの1つとして、シャドーITによるデータ漏洩のリスクは特に注意が必要です。シャドーITとは、企業の公式なIT部門の管理や認知を経ずに、従業員が個人的に導入や使用を始めるITリソースやアプリケーションのことを指します。BYOD環境では、従業員が自身のデバイスで業務に便利だと思われる様々なアプリやクラウドサービスを導入し、使い始めるケースが増えます。このような行動は、従業員の生産性向上に貢献する一方で、セキュリティ監視の観点からは見過ごされがちなリスクを生み出します。
シャドーITにより、企業の重要なデータが管理されていない、または安全でないプラットフォームに保存されたり共有されたりすることになると、データ漏洩のリスクが高まります。これらのアプリケーションやサービスはしばしば企業のセキュリティポリシーやコンプライアンス基準に準拠していないため、外部の攻撃者による侵入の対象となりやすく、情報が漏洩する可能性があります。
BYODのデバイスを保護する対策と方法
BYODで使用するデバイスのセキュリティ対策をいくつかご紹介します。
BYODで使用するデバイスでまだ、これらのセキュリティ対策をされていない方はセキュリティ対策を推奨します。
BYODデバイスにインストールできるアプリを制限する
BYODデバイスにインストールできるアプリを制限することは、BYODのデバイスを保護する効果的な方法の一つです。このアプローチは、従業員が業務に使用する個人デバイスに対して、企業が管理とコントロールを強化することを可能にします。具体的には、企業は使用が許可されているアプリのリストを作成し、それ以外のアプリのインストールを禁止することで、不正なソフトウェアやセキュリティ対策が不十分なアプリによるリスクを低減します。
この手法は、特に不安全なソースからのアプリダウンロードや、企業のデータセキュリティ基準を満たしていないアプリの使用を防ぐことで、マルウェア感染やデータ漏洩のリスクを大幅に減少させることができます。
OSおよびソフトウェアを最新に保つ
BYODのデバイスを保護するためにOSおよびソフトウェアを最新に保つことは、セキュリティ対策の基本中の基本です。この手段は、セキュリティの脆弱性を修正し、マルウェアやその他のサイバー攻撃からデバイスを守るために極めて重要です。ソフトウェア開発者は定期的にセキュリティパッチやアップデートをリリースしており、これらは新たに発見された脆弱性を修正し、システムの安定性を向上させるために設計されています。
従業員のデバイスのOSとソフトウェアを常に最新の状態に保つことにより、攻撃者がこれらの脆弱性を悪用するリスクを大幅に減少させます。
紛失または盗難の場合の対応計画
BYODデバイスの紛失や盗難に対処するための計画は、企業のセキュリティ戦略にとって不可欠な要素です。この種の事態は予期せぬものですが、事前に明確なプロセスと手順を確立しておくことで、潜在的な被害を最小限に抑えることができます。まず、従業員がデバイスを紛失したり盗まれたりした場合にすぐに報告できるよう、簡単で迅速な通報システムを設置することが重要です。これにより、セキュリティチームが速やかに対応を開始できます。
例えば、遠隔でそのデバイスをロックしたり、そのデバイスで使用されいているアカウント情報をパスワードマネージャーなどで変更したり対応することができます。
公共のWi-Fiの使用を避ける
BYODデバイスを保護する上で、公共のWi-Fiの使用を避けることは非常に重要です。公共のWi-Fiネットワークは便利でアクセスしやすいものの、しばしばセキュリティ対策が不十分で、中間者攻撃(Man-in-the-Middle Attack)などのサイバー脅威にさらされやすい環境です。中間者攻撃では、攻撃者がユーザーとインターネットの間に割り込んでデータを傍受し、機密情報を盗み出したり、通信を操作したりします。
このリスクを回避するために、企業は従業員に対して、業務に関連するデータを扱う際には信頼できるプライベートなネットワーク接続を使用するよう指導するのが望ましいです。もし公共のWi-Fiを使用する必要がある場合は、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用してデータ通信を暗号化し、外部からの盗聴や傍受を防ぐように対策することが大切です。
2要素認証(2FA)または多要素認証(MFA)の設定
BYODデバイスを保護するために、各アカウントに2要素認証(2FA)または多要素認証(MFA)を設定することは、非常に効果的な手段です。これらの認証方法は、単にユーザー名とパスワードを入力するだけではなく、ユーザーが自分の身元を確認するために2つ以上の異なる認証要素を提供する必要があります。これにより、もし誰かがユーザーのパスワードを盗んだとしても、追加の認証要素がないとアカウントにアクセスできないため、不正アクセスのリスクを大幅に減少させることができます。
ウイルス対策ソフトウェア
BYODデバイスを保護する対策として、ウイルス対策ソフトウェアをデバイスにインストールすることは非常に効果的です。ウイルス対策ソフトウェアは、マルウェア、スパイウェア、ランサムウェアなどの様々な種類のサイバー攻撃からデバイスを保護するための1つの手段です。ウイルス対策ソフトウェアは定期的にデータベースを更新し、新たに発見された脅威に対しても有効な保護を提供します。
中には、デバイスに侵入したウイルスなどを駆除してくれるものまであります。
パスワードKeeperがBYODデバイスを保護する理由
パスワードKeeperはBYODポリシーを導入している企業に対してとても有効なソリューションを提供することができます。
どのようなサービスで、BYODデバイスを保護するのかいくつか事例をご紹介します。
PAM(特権アクセス管理)による従業員デバイスの一元管理
KeeperPAM™(特権アクセスマネージャー)は、エンタープライズパスワード管理(EPM)、Keeperシークレットマネージャー(KSM)、そしてKeeperコネクションマネージャー(KCM)という3つの強力なセキュリティソリューションを一つの統合プラットフォームにまとめたものです。このPAMプラットフォームを活用することで、企業や組織はパスワード、機密情報、リモート接続のセキュリティを効果的に強化することが可能になります。
全てのパスワード・認証情報・機密情報・接続を一元管理できるため、企業内のデバイスに対して、高いセキュリティ対策になります。
コネクションマネージャー(KCM)によるリモートデスクトップ管理の簡素化
コネクションマネージャーを利用することによるリモートデスクトップ管理の簡素化は、BYOD環境におけるIT管理の複雑さを大幅に軽減し、その結果、効率性とセキュリティが大きく向上します。このソフトウェアは、リモートデスクトッププロトコルやその他のリモートアクセス技術を利用して、企業ネットワーク内のデバイスへのアクセスを安全かつ中央集権的に管理することを可能にします。このシステムにより、IT管理者は従業員がどのリソースにアクセスできるかを容易に制御でき、高度な暗号化とセキュリティプロトコルによりデータの漏洩や不正アクセスのリスクが減少します。
さらに、従業員は個人のデバイスから直接、安全に企業のデスクトップやアプリケーションにアクセスできるため、どこにいても業務の効率性と生産性を保つことができます。また、IT管理者はコネクションマネージャーを通じてリモートデバイスにアクセスし、問題解決やメンテナンスを迅速に行うことができるため、特にリモートワーク環境でのITサポートが大幅に簡素化されます。
従業員のログイン情報を安全に管理する
BYOD環境では、従業員が自分のデバイスで業務を行うため、企業データへのアクセスに使用されるログイン情報を安全に保管し、管理することが特に重要です。パスワードマネージャーの導入は、セキュリティを強化し、従業員の利便性を向上させると同時に、IT管理者がパスワードポリシーを適切に実施し、セキュリティインシデントに迅速に対応できるよう支援します。
例えば、従業員は一つの強力なマスターパスワードを覚えるだけで、さまざまなアカウントにアクセスすることができます。強力なパスワードを生成し、これらを安全にボルトに保管することができます。従業員は各アカウントに対して独自の強力なパスワードを持つことができるため、1つのサービスでのセキュリティ侵害が起きても、他のアカウントに波及するリスクが低減します。また、セキュリティが脆弱なパスワードを検出したり、ダークウェブに漏洩しているパスワードを検出するための監視機能もあるため、IT管理者がログイン情報の漏洩に対して、迅速に行動することができます。
まとめ:Password KeeperでBYOD環境を安全に管理する
BYODを導入する企業では、避けては通れないBYODのデバイスに対するセキュリティ対策ですが、しっかり安全に管理することでサイバー攻撃のリスクを下げることができます。
先ほども紹介した通り、KeeperPAM™(特権アクセスマネージャー)のようなソリューションは、BYODを導入している企業にとても役に立ちます。
KeeperPAM™は、エンタープライズパスワード管理(EPM)、Keeper シークレットマネージャー(KSM)、そしてKeeperコネクションマネージャー(KCM)という3つを組み合わせた特権アクセス管理ソリューションです。 KeeperPAMを使用すれば、企業や組織はパスワード、機密情報、リモート接続のセキュリティをBYODを通して効果的に強化することが可能になります。
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