ゼロトラストネットワークアクセス (ZTNA) ソリ
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特権アクセス管理 (PAM) ソリューションの導入は、組織の最も機密性の高いデータとシステムを保護するための重要なステップです。 PAMを正しく実行すると、最小権限の原則 (PoLP)を徹底でき、攻撃対象領域が縮小され、セキュリティチームはどのユーザーがいつ何にアクセスできるかを制御できるようになります。 しかし、PAMソリューションの効果は、その導入方法次第です。 PAMソリューションを組織に統合する際に避けるべき一般的な落とし穴には、統合の複雑さを過小評価すること、ユーザー体験を見落とすこと、明確なアクセスポリシーを定義しないことなどが挙げられます。
PAM導入の一般的な落とし穴と、組織のPAMソリューション導入を成功させるための戦略について、この記事ではご紹介します。
企業が特権アクセス管理の導入に失敗する理由
ここでは、企業が特権アクセス管理の導入に失敗する理由をいくつかご紹介します。
1. 明確な戦略の欠如
PAM導入におけるよくある失敗のひとつは、明確な計画なしに進めてしまうことです。 特権アカウントや使用中のシステム (オンプレミス、ハイブリッド、クラウド) の数や種類、コンプライアンス要件など、環境をまず理解しないと、組織固有のニーズに合わないソリューションを選択してしまうリスクがあります。 PAM戦略が不明確だと、不必要に複雑になったり、対象範囲が見落とされたり、規制基準を満たせなかったりする可能性があります。
PAM導入に向けた戦略的アプローチは、組織のリスクプロファイルとアクセスニーズをしっかりと理解することから始まります。 環境はそれぞれ異なるため、ある組織では重要なシステムでも、別の組織ではそれほどリスクが高くないこともあります。 安全なリモートアクセスやジャストインタイム (JIT) アクセスなどの主要な目標を定義する前に、組織全体で特権アクセスがどのように使用されているか、また、最も重大なセキュリティの脆弱性がどこにあるかを評価することが重要です。 このような基盤固めを行った上でPAMを導入すれば、問題とされるセキュリティリスクに確実に対応し、段階的な展開を通じて意味のある改善を実現できます。
2. ユーザーの採用と変更管理が不十分
技術的に最も優れたPAMソリューションであっても、ユーザーがそれを理解して受け入れなければ失敗する可能性があります。 新しいツールが日常のワークフローを妨げたり、明確なメリットがないのに複雑さが増えたりする場合、PAMが保護するように構成されているユーザー、特にIT管理者やDevOpsチームなど、最前線のチームから反発を受けるリスクがあります。 ConductorOne「アイデンティティセキュリティ・アウトルック・レポート」によると、38%の組織が、PAMソリューションを導入する際に従業員が変化に抵抗を示すと報告しています。 一般的な反発の理由としては、直感的でないインターフェース、日常のワークフローの中断、メリットが感じられない、などがあります。
このような事態を防ぐため、組織は主要な利害関係者を早期に関与させ、PAMソリューションの仕組みだけでなく、導入の理由も伝える必要があります。 実践的なデモや段階的なロールアウトを通じて、ユーザーに早い段階から変更の準備をさせる方が、PAMソリューションに対する信頼を築き、導入の際の摩擦を減らすことができます。 ユーザーの懸念に対処するのを展開まで待ってしまうと、セキュリティ目標を台無しにする可能性のある妥協策を選ぶ結果になりがちです。
3. 拡張性のないエージェントベースのPAM
数百または数千のエンドポイントの全体でエージェントを維持、更新することは非現実的です。対象範囲を充分に網羅できず、セキュリティの脆弱性を引き起こす可能性があります。 エージェントはすべてのソフトウェアタイプやクラウドネイティブリソースをサポートしているわけではないため、特権セッションの記録や特権アクティビティの追跡に盲点が生じる可能性があります。
対照的に、エージェントレスPAMソリューションは、アプリケーションプログラミングインターフェイス (API) とネイティブプラットフォーム統合を活用して、すべてのシステムにソフトウェアをインストールしなくてもポリシーを強制適用します。 このアプローチは、ハイブリッド環境やリモート環境では拡張性が高く、適応性があり、セキュリティギャップのリスクを軽減できます。
4. 既存システムとの統合が不十分
PAMソリューションが潜在能力を最大限に発揮するには、より広範なセキュリティおよびITエコシステムにシームレスに統合する必要があります。 PAMは単独で動作するように構成すべきではありません。連携の取れないツール、手動ワークフロー、不完全な監査証跡といった問題に組織が直面することになるからです。 次のような重要なシステムと統合できるPAMの導入が効果的です。
- セキュリティ情報とイベント管理 (SIEM): 監査ログの集中管理とリアルタイムの脅威検出。
- ID管理とアクセス管理 (IAM): 一貫したポリシーを強制し、ユーザー登録を合理化。
- ITサービス管理 (ITSM): アクセス権のリクエストと承認のプロセスを既存のワークフローに連結。
- DevOpsツールチェーン: CI/CDパイプラインへの安全なアクセス。
これらの統合がなければ、組織は完全な可視性の維持や、コンプライアンス方針の施行に悪戦苦闘してしまいます。 PAMソリューションを組織の既存のエコシステム内で確実に機能させることが最優先事項です。
5. 間違ったPAMベンダー選択
ブランドの認知度や機能の豊富さだけでPAMベンダーを選ぶのは、組織のPAM導入成功を危うくする一般的な落とし穴です。 Keeper Securityの「特権アクセス管理調査レポート」によると、調査に参加したITマネージャーの68%が、現在のPAMソリューションには組織のニーズに対して不要な機能が多すぎると述べています。
組織の既存のアーキテクチャ、ワークフロー、または計画と一致しないプラットフォームは、さらなる問題を引き起こす可能性があります。 見込み違いのPAMベンダー選びにならないように、ソリューションが組織の環境にどれほど適合するかという点でベンダーを評価するべきです。
PAMソリューション探しのポイント:
- 現在および将来のオンプレミス、ハイブリッド、クラウドインフラに対応します
- リモートアクセスやDevOps自動化などのユースケースをサポートできる
- 既存のツールと統合可能
- 成果を迅速に実感でき、採用しやすい
また、ベンダーのドキュメントや製品ロードマップも評価しましょう。 大幅なカスタマイズが必要で、柔軟性に欠け、時間の経過とともに拡張が困難になるPAMソリューションは避けてください。 適切なベンダーであれば、単なる製品提供者ではなく、長期的なパートナーとなるでしょう。
6. PAMを一度限りのプロジェクトとして扱う
多くの組織が、PAMを継続的なセキュリティソリューションではなく、1回限りの展開と見なすという間違いを犯しています。 適切なユーザーに特権アクセスが付与されていることを確認し、疑わしいアクティビティを検出するには、定期的なアクセスレビューや監査を含む継続的なメンテナンスが不可欠です。 サイバー犯罪者がより高度な攻撃を開発するにつれ、PAMソリューションもそれに順応して新しい脅威検出機能を統合して、組織の機密データを保護する必要があります。 権限レベルの調整、定期的な監査の実施、新たなリスクを反映するためのポリシーの更新、疑わしい活動のセッション監視などがこれらのタスクに挙げられますが、どれも完結することはありません。
これらのタスクを怠ると、古い構成や使用しなくなったアカウント、ポリシーのずれが生じる可能性があり、いずれも重大なセキュリティの脆弱性を引き起こします。 組織はPAMを生きたプログラムとして扱い、組織の成長とともに進化させる必要があります。
これらのPAM導入の一般的な落とし穴を回避するには
一般的なPAM導入の落とし穴を回避するには、組織は以下の手順に従うべきです。

包括的な評価と明確な戦略から始めましょう
組織でPAM導入を成功させるには、まず現在の状態を徹底的に評価することです。 つまり、すべての特権アカウント、ワークフロー、インフラストラクチャ、コンプライアンス要件を確認する作業です。 このステップをスキップすると、通常、ツールの不整合やスコープクリープが発生したり、対象範囲を充分に網羅できなかったりします。 「恒常的なアクセス権を削減する」、「JITアクセスを有効化する」といった測定可能な目標を設定することで、組織の監査準備態勢に磨きをかけ、最も重要なシステムから段階的に展開するアプローチを採用できます。
変更管理とユーザーエンゲージメントを優先する
PAMソリューションを成功させるには、技術的な実行だけでなく、ユーザーの協力も必要です。 管理者やその他の特権ユーザーがPAMソリューションを理解していない場合、PAM導入に抵抗し、妥協策やポリシー違反につながる可能性があります。 ユーザーの懸念に対処する方法の計画段階でITチームと開発者を巻き込み、フィードバックを収集して、PAMソリューションが組織の既存のワークフローに適合していることを確認しましょう。 徹底したトレーニングセッションと継続的なサポートを提供して信頼を築くことで、PAMが業務を妨げるのではなく、業務を向上させることをユーザーに具体的に示すことができます。
適切なPAMベンダーを選択しましょう
適切なPAMベンダーを選ぶことは、拡張性、統合、長期的な成功に影響を与える重要な決定事項です。 オンプレミス、ハイブリッド、クラウドネイティブのいずれであっても、組織の現在のアーキテクチャに合わせて連携できるソリューションが必要です。 組織は、IAM、SIEM、ITSM、DevOpsツールなどの既存のエコシステムと容易に統合できるプラットフォームを優先すべきです。 また、成果を実感するまでの時間と、どれだけ早くPAMソリューションを展開できるかも考慮しましょう。 PAMソリューションは、管理者とエンドユーザーの両方にとって直感的かつ効率的である必要があります。 強力なサポート態勢を備え、明確なロードマップや定期更新の詳細な記録を提示できるベンダーを探すべきです。 ソリューションに大幅なカスタマイズが必要であったり、柔軟性に欠けたりするPAMベンダーを選ぶことは避けてください。
PAMを持続可能なセキュリティ施策として機能させる
PAMソリューションの導入は、どの組織にとってもセキュリティ対策の出発点に過ぎず、その取り組みは継続的に進化していく必要があります。組織の成長や変化に応じて、PAM戦略も柔軟に見直し、効果を維持しなければなりません。
そのためには、プログラムの責任者を明確にし、KPI(重要業績評価指標)を定義し、定期的な監査とレビューを実施するなど、初期段階から明確なガバナンス体制を構築することが重要です。
PAMを「導入して終わり」ではなく、組織の変化に適応し続けるセキュリティ基盤として運用することで、継続的な価値を生み出し、セキュリティ態勢の強化とコンプライアンスの維持につなげることができます。
まとめ:PAMを使用して組織の安全を守る
明確な戦略の欠如、ユーザー定着の不十分さ、不適切な統合といった一般的な落とし穴を避けることで、PAMの可能性を最大限に引き出し、長期的なセキュリティの強固な基盤を築くことができます。 PAMソリューションを評価する際には、拡張性、使いやすさ、最新のITインフラストラクチャ全体でシームレスな統合を実現するように設計されたKeeperPAM®のようなソリューションをご検討ください。
組織に最新のゼロトラストPAMソリューションを実装することをご検討中であれば、今すぐKeeperPAMのデモをリクエストして、機能をご覧ください。
よくある質問
PAM導入でよくある失敗は?
特権アクセス管理(PAM)ソリューションを導入する際によくある失敗は、明確で包括的な戦略を立てずに導入を進めてしまうことです。多くの組織が短期的な目標のみに注目しがちですが、環境をしっかりと評価しないまま進めると、ツール間の不整合や対象範囲の抜け、構成ミスなどを招くリスクがあります。
適切なPAMベンダーはどう選ぶ?
適切な特権アクセス管理 (PAM) ベンダーを選ぶことは、現在および将来の組織固有のニーズに合ったソリューションを見つけることを意味します。拡張性、既存のセキュリティツールとの統合しやすさ、管理者とエンドユーザー双方のユーザー体験に重点を置きましょう。また、コストのかかるカスタマイズやベンダーロックインを回避するために、ベンダーのサポート態勢、製品ロードマップ、柔軟性を評価してください。
エージェント型とエージェントレス型PAMの違いは?
エージェントベースの特権アクセス管理 (PAM) ソリューションでは、デバイスやサーバーにインストールされたソフトウェアエージェントを使用して特権アクセスが制御され、継続的なメンテナンスと更新が必要です。一方、エージェントレスPAMは、ネイティブプラットフォームの統合とAPIに依存して、各システムにソフトウェアをインストールせずにポリシーを適用します。そのため、特に複雑なIT環境では、エージェントレスソリューションは拡張性が高く、管理しやすくなります。
PAMプログラムを長期的に維持するには?
特権アクセス管理 (PAM) ソリューションの維持は、進化するシステムやサイバー攻撃の脅威に対応するために、定期的な監査とポリシーの更新を行う継続的なプロセスです。割り当てられた所有権とKPIを使用して明確なガバナンスを確立し、権限レベルとコンプライアンス要件を頻繁に評価します。継続的なメンテナンスと拡張を計画することにより、PAMソリューションの長期的な効果を確保します。
ユーザーがPAMの導入に乗り気でない理由とは?
通常、ユーザーは、特権アクセス管理(PAM)ソリューションが日常のワークフローを妨げ、慣れないプロセスを導入し、手間がかかると感じるため、使用に消極的になります。システムのインターフェースがわかりにくいと、IT管理者や開発者はそれをメリットではなく障害と見なすかもしれません。PAMに対する抵抗を軽減するには、早期のエンゲージメント、実践的なトレーニング、明確なコミュニケーションが鍵となります。