CSRF(Cross-Site Request Forgery、クロスサイトリクエストフォージェリ)は、ウェブセキュリティの脆弱性の一種で、ユーザーがログインしているセッションIDを不正に利用し、本人に成り代わって無許可でリクエストを送信することで、Webアプリケーション上で認可されていない操作を実行するサイバー攻撃です。
この記事では、CSRFに関する知識を深めるために、CSRFの危険性やCSRFから身を守る方法をご紹介します。
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CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)が発生する原因
Webアプリケーションのセキュリティを脅かすCSRF(Cross-Site Request Forgery)は、ユーザーが意図しない操作を強制的に行わせるサイバー攻撃です。この攻撃が成立する背後にはいくつかの原因がありますが、主要な原因を詳しく見ていきましょう。
セッション管理の不備
ウェブアプリケーションは、ユーザーのログイン状態をセッションIDで管理します。
このセッションIDが適切に保護されていない場合、攻撃者はこのIDを悪用し、ユーザーになりすまして不正な操作を行うことができます。
セッション管理の不備には、セッションIDの予測可能性、セッションの固定化攻撃、安全でない通信経路でのセッションIDの送信などがあります。
クロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性
クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は、攻撃者がウェブページに悪意のあるスクリプトを注入し、他のユーザーのブラウザ上で実行させるものです。この脆弱性があると、攻撃者はユーザーのセッションIDを盗み出し、CSRF攻撃に利用することが可能になります。XSSとCSRFは異なる攻撃ですが、XSSの存在はCSRF攻撃を容易にするため、両方のセキュリティリスクを低減するための対策が必要です。
安全でないサードパーティのコンポーネント
多くのウェブアプリケーションは、機能拡張のためにサードパーティ製のコンポーネントやライブラリを使用します。これらの外部コンポーネントが持つセキュリティの脆弱性は、アプリケーション全体のセキュリティを低下させ、CSRF攻撃のリスクを高める可能性があります。特に、ユーザー認証やセッション管理に関わるコンポーネントが安全でない場合、攻撃者はこれを突いて不正な操作を行うチャンスを得ることになります。
CSRFの危険性と起こり得る被害
CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)攻撃は、そのシンプルさにも関わらず、深刻なセキュリティ上の脅威をもたらす可能性があります。ユーザーが意識することなく、攻撃者によって意図しないアクションを実行させられることから、様々なセキュリティ問題が生じます。以下に、CSRFの危険性や被害についていくつかの具体例を挙げます。
ユーザーのセキュリティ設定の変更
攻撃者はCSRFを利用して、被害者のウェブサイト上のセキュリティ設定を変更することができます。例えば、パスワードのリセットやメールアドレスの変更など、ユーザーのアカウントセキュリティに直接影響する設定の変更を無許可で行うことが可能です。これにより、ユーザーの保護が弱まり、さらなる攻撃に対して脆弱になります。
不正送金や身に覚えのない商品の購入
インターネット銀行や通販サイトでは、CSRF攻撃の影響が特に深刻です。この種の攻撃により、攻撃者はログイン状態にあるユーザーのセッションを不正に利用し、ユーザーが意図しない金銭的取引を行わせることが可能になります。例えば、ユーザーが知らぬ間に高額な商品を購入させられたり、第三者の口座に不正送金が行われたりすることがあります。このプロセスは完全に背後で行われ、ユーザーが攻撃に気づくのは、その不正利用が発生した後になってからです。
機密情報の漏洩
CSRF攻撃による機密情報の漏洩は、個人のプライバシー侵害に留まらず、さらに深刻な結果を引き起こす可能性があります。攻撃者がユーザーの個人情報にアクセスし、それを不正に外部に公開することで、被害者は個人情報の盗難の危険にさらされます。このような情報が第三者の手に渡ることで、不正なクレジットカードの申し込み、偽のなりすましアカウントの作成、その他の詐欺行為が行われることになりかねません。
アカウントの乗っ取り
CSRF攻撃によるアカウントの乗っ取りは、ただアカウントへのアクセスを奪うだけではなく、被害者にとってもっとも大きな問題を引き起こすことがあります。攻撃者がアカウントを手に入れると、個人情報を変更したり、連絡先を消去したり、さらには被害者の友人や職場の人々に偽のメッセージを送るなど、さまざまな悪質な行動を起こすことができます。これにより、被害者の名声や人間関係に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
複合的な攻撃への利用
CSRF攻撃は、単体でも十分に危険ですが、他の攻撃方法と組み合わせることで、その脅威はさらに増大します。特にクロスサイトスクリプティング(XSS)やフィッシングといった技術と連携することにより、攻撃者はより巧妙にユーザーを欺き、セキュリティの盲点を突くことができます。このような複合攻撃では、一つの脅威が他の脅威の効果を高めることで、防御メカニズムを迂回し、被害を拡大させる可能性があります。
例えば、XSS攻撃によって悪意のあるスクリプトがウェブサイトに挿入された場合、そのスクリプトを通じてCSRF攻撃が仕掛けられることがあります。これにより、ユーザーが気づかないうちに、攻撃者が意図したアクションを実行させられることになります。同様に、フィッシングを利用してユーザーを偽のログインページに誘導し、その情報を盗んだ後にCSRF攻撃を行うことも可能です。
どのようなWebサイトがCSRFの被害に遭いやすい?
ウェブサイトは、ユーザーのセッション管理や認証のために様々な方法を採用しています。これには、ブラウザに保存される情報であるCookieを使用する方法、Basic認証によってユーザーIDとパスワードを要求する方法、そしてSSLクライアント認証により電子証明書を用いて接続元を確認する方法などがあります。Basic認証は最もシンプルな認証方法で、アクセスしたいサイトでユーザー名とパスワードを入力することで閲覧権限を得られますが、情報が盗聴されるリスクもあります。一方、SSLクライアント認証はよりセキュリティが高く、特定のクライアント証明書が必要となります。これは通常、信頼できる第三者機関によって発行されます。
特に、金銭取引を行うネットバンキングやECサイト、会員情報を扱うサイトや管理画面を持つサイトなどは、CSRF攻撃の標的になりやすい傾向があります。これは、これらのサイトが重要な情報や資金の移動を扱っているため、攻撃者にとって魅力的なターゲットとなるからです。ウェブサイト運営者は、これらの認証方法を適切に管理し、定期的にセキュリティ対策を更新することで、不正アクセスやデータの漏洩を防ぐ必要があります。
クロスサイトリクエストフォージェリに有効な対策: 個人目線
CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)攻撃は、ユーザーの意図せぬ操作を強制することにより、セキュリティの脅威を引き起こします。ウェブサイトの開発者はCSRF攻撃を防ぐための対策を講じることが重要ですが、ユーザー自身も自らを守るためにできることがあります。以下は、ユーザー側から見たCSRF対策の有効な方法です。
不審なリンクやメールに注意する
CSRF攻撃から身を守るために、フィッシングメールや怪しいリンクに対する警戒が不可欠です。これらは、CSRF攻撃だけでなく、マルウェアやウイルスの拡散にも利用されることがあります。未知の送信者からのメールや信頼できないウェブサイトのリンクは、見た目には無害かもしれませんが、クリックするだけで個人情報の漏えいやマルウェアの感染を招く可能性があります。
リンク先のURLを確認する際には、メールやメッセージ内のリンクにマウスカーソルを合わせて、実際のアドレスをプレビュー表示しましょう。
ここで重要なのは、ウェブサイトが信頼できるソースからのものかどうかを見極めることです。またGoogleの透明性レポートを使い、それが安全なものであるか確認することもできます。
ドメイン名が正式なもので、誤字や不自然な文字列が含まれていないかを確認する必要があります。さらに、安全なサイトは「https://」で始まるHTTPSプロトコルを採用していることが多いため、URLがこのプロトコルで始まっているかもチェックするとよいでしょう。
ブラウザのアップデートをする
最新のアップデートされたウェブブラウザは、CSRF攻撃を含む様々なサイバー脅威からユーザーを保護するための機能を備えています。ブラウザのセキュリティ設定を確認し、可能な限り最高レベルの保護を適用するようにしましょう。またブラウザや各種サイトなどにログイン情報を保存している場合は、サイバー犯罪者に狙われる対象になるので注意が必要です。
各種サイトやブラウザに保存している場合、ブラウザや各種サイトが狙われるとクレデンシャルの漏洩の原因にもなるので、安全なボルトなどに保存することが大切です。
定期的にパスワードを変更し、強力なものにする
強力なパスワードは、CSRF攻撃だけでなく、あらゆる種類のサイバー攻撃に対する有効的な対策です。定期的にパスワードを変更し、各サービスごとに異なるパスワードを使用することを心がけましょう。パスワードを強化し、セキュリティを高めるためには、長くて複雑なパスワードを設定することが肝心です。理想的なパスワードは、文字、数字、記号を組み合わせたもので、少なくとも16文字以上の長さが推奨されます。また、推測しにくいランダムなパスワードを使用することで、ブルートフォース攻撃や辞書攻撃による突破を困難にします。
また、パスワードマネージャーを使用することで、強力なパスワードを生成・管理するのを支援してくれるのでとても有効です。
クロスサイトリクエストフォージェリに有効な対策: Webサイト運営者目線
Webサイト運営者として、CSRF(Cross-Site Request Forgery)攻撃からアプリケーションとユーザーを保護することは極めて重要です。以下に、Webサイト運営者が取り組むべきCSRF対策を紹介します。
ワンタイムパスワードによるリクエスト確認のセキュリティ強化
リクエストの確認とセキュリティ強化には、「時間制限ワンタイムパスワード」(TOTP)の使用が有効な戦略となり得ます。この手法は、特に金融取引を含むセキュリティが求められるWebアプリケーションでしばしば利用されます。
ユーザーがログインする際、システムが時間制限内でしか使用できないランダムな数字の列、つまりワンタイムパスワードを生成します。このパスワードは、通常、ユーザーのスマートフォンアプリ、メール、またはSMSを通じて直接ユーザーに送信されます。次に、ユーザーはこのワンタイムパスワードをログインプロセス中に入力し、サーバー側でそのパスワードが現在有効かどうかを確認します。
このワンタイムパスワードの使用により、たとえユーザー名やパスワードが漏洩したとしても、その情報のみではアカウントへの不正アクセスが困難になります。なぜなら、正当なログイン試行でのみ生成される一時的なパスワードが必要となるからです。
リファラヘッダの検証
リファラヘッダの検証は、ウェブアプリケーションのセキュリティを高めるために役立ちます。具体的には、ウェブサーバーがリクエストを受け取ったときに、そのリクエストがどのドメインから送られてきたかを示す「リファラ」の情報をチェックします。この情報を用いて、リクエストが信頼できるドメイン、つまり自分のウェブサイトや許可されたドメインからのものであるかを確認します。これにより、怪しいリンクやフィッシングサイトからの不正なアクセス試みを見つけ出し、ブロックすることができます。
しかし、技術的にはリファラヘッダの情報を改ざんすることが可能です。つまり、攻撃者はリファラヘッダに偽の情報を挿入して、不正なリクエストを正当なものとして偽装することができます。そのため、リファラヘッダの検証だけに頼ることなく、他のセキュリティ対策と併用することが重要です。
定期的なセキュリティレビューとアップデート
ウェブアプリケーションの安全を維持するためには、定期的にシステムのチェックアップを行い、必要に応じて更新作業をすることが欠かせません。これは、ソフトウェアやその他のシステム部品に見つかる新しいセキュリティの弱点やサイバー脅威から保護するためです。インターネットの世界では、新たな攻撃手法が絶えず開発されており、これに対応するためには、使用している技術を常に最新の状態に保つ必要があります。
具体的には、ウェブアプリケーションを構成するソフトウェアやライブラリの最新版への更新、セキュリティパッチの適用、そしてシステムの脆弱性を探るペネトレーションテストの実施などが含まれます。これらのプロセスを定期的に行うことで、ハッカーに悪用される可能性のある弱点を減らし、ユーザーのデータやプライバシーを守ることができます。
まとめ:CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)から身を守ろう
CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)は、あらゆるWebサービスを使うユーザーもWebサイトやサービスの運営者にとって無視できないサイバー脅威です。
このサイバー攻撃は、ユーザーが意識しない間に、悪意ある操作を実行させられる可能性があるため気づくのに時間がかかります。
しかし、適切な対策を講じることで、CSRFから身を守ることが可能です。
Webサイト運営者側は、リクエストの確認強化、リファラヘッダの検証、定期的なセキュリティレビューとアップデートなど、多層的なセキュリティ対策を施すことが重要です。また、個々のユーザーにとっても、強力なパスワードの使用や、異なるサービスでのパスワードの使い回しを避けることが、セキュリティを高める上で効果的です。
この点で、パスワードマネージャーの利用は、ログイン情報の管理を安全かつ効率的に行うための優れた方法です。パスワードマネージャーを使用すれば、複雑で強力なパスワードを各アカウントに設定し、それらを安全に保管することができます。さらに、ログイン時にはパスワードマネージャーが自動的に情報を入力してくれるため、キーロガーなどのサイバー攻撃対策にもなり、利便性も向上します。
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