KeeperをSlackのワークフローと連携させると
近年、企業を取り巻くサイバーリスクがますます複雑化する一方で、それに対応すべきセキュリティ人材の不足が深刻な社会課題となっています。特に日本では、技術者の高齢化や若手人材の流出など、複数の要因が重なり、セキュリティ体制の構築に苦労している企業が増えています。本記事では、セキュリティ人材の定義から日本特有の課題、そしてそのリスクや原因について解説します。
セキュリティ人材とは?
「セキュリティ人材」とは、企業や組織が保有する情報資産をサイバー攻撃や内部不正から守るために、専門的な知識と実践的なスキルを備えたプロフェッショナルのことを指します。
日本では、サイバーセキュリティ分野における人材不足が長年にわたり継続しており、しかも年々深刻化しています。
経済産業省の報告によれば、2023年時点で約11万人規模のセキュリティ人材が不足していると推定されており、このギャップは今後も埋まりにくいと見られています。
大手企業では一定のセキュリティ専門部門を設置しているケースもありますが、中小企業や地方企業では「専任不在」または「兼任体制」が一般的です。そのため、適切なセキュリティ対策が講じられていない企業も少なくなく、リスクが高まり続けています。
セキュリティ人材には、単なるITスキルだけではなく、リスクマネジメントの視点、関連する法規制への理解、そして自社の業務プロセスに対する深い理解といった多面的な能力が求められます。
日本でセキュリティ人材が不足している主な原因
日本におけるセキュリティ人材の不足は一時的な問題ではなく、構造的な問題です。その背景には、社会・教育・技術の複数の要因が複雑に絡み合っているため、代表的な4つの原因について詳しく見ていきましょう。
高齢化と若手人材の流出
まず、日本社会全体が直面している少子高齢化は、IT・セキュリティ業界においても例外ではありません。セキュリティの専門家として長年活躍してきた技術者が次々と引退を迎える一方で、その後継となる若手人材の育成と定着が進んでいないのが現状です。
専門スキルを持つ人材の争奪戦
サイバー攻撃が高度化する中で、単なるITスキルだけでなく、脆弱性管理、アクセス制御、インシデント対応計画、フォレンジック調査、クラウドセキュリティなどの専門的な知識と実務経験が求められるようになっています。
このような高度スキルを持つ人材は非常に希少であり、大企業やグローバル企業を中心に優秀な人材の争奪戦が激化しています。結果として、中小企業や地方企業では採用が困難となり、常に「人が足りない」「育てる余裕がない」という悪循環に陥っています。
教育体制の遅れ
セキュリティ人材不足の根本的な原因の一つとして、教育・育成の仕組みの遅れが挙げられます。大学や専門学校でのサイバーセキュリティ教育は徐々に増えてはいるものの、実務に直結したカリキュラムやトレーニングはまだ限定的です。
また、企業内でのアウェアネストレーニングやスキルアップの機会が不足していることも問題です。
サイバー攻撃の高度化
近年、標的型攻撃やランサムウェア、サプライチェーン攻撃など、サイバー攻撃の手法は急速に進化しています。特にゼロデイ脆弱性や多段階型攻撃への対応には、高度な知識とスピーディな判断力が必要です。
しかし、多くの企業では最新の脅威に追いつくための体制や人材が不足しており、常に後手の対応を強いられているのが現実です。結果として、既存のセキュリティ人材に過大な負荷がかかり、離職やバーンアウトを招くケースもあります。
セキュリティ人材の不足がもたらすサイバーセキュリティのリスク
セキュリティ人材の不足は単なる「採用の問題」にとどまりませんここでは、人材不足が引き起こす代表的なリスクについて解説します。
情報漏洩
セキュリティ人材が不足すると、システムの常時監視や脆弱性のパッチ適用といった基本的な対策が後回しになり、結果として機密情報や顧客データが外部に情報漏洩するリスクが高まります。とくに、アクセス権限の制御や不備やログ管理の欠如は、内部不正に対する脆弱性を増大させます。
法令・規制違反
コンプライアンスでは、個人情報保護法(改正含む)、GDPR(EU一般データ保護規則)、サイバーセキュリティ基本法などの法令が整備・強化されており、企業には「予防的な対応」と「監査可能な証跡の整備」が求められています。
しかし、こうした規制に対応できるITプロフェッショナル担当者人材が不足している企業では、リスクアセスメントやポリシー策定が形骸化しているケースが少なくありません。
ヒューマンエラー
情報セキュリティは、技術的な対策と人的な対策の両方が揃って初めて効果を発揮します。中でも、パスワードの使い回し、メールにて機密情報の誤送信、USBメモリなどの物理媒体による情報の持ち出しといった人為的なミス、いわゆるヒューマンエラーは、深刻な情報漏洩の引き金となり得ます。
コストの増大
セキュリティ人材が不足することによって、組織全体のセキュリティコストが見えにくい形で増大するケースは少なくありません。とくに、人手で対応している定型業務が業務負荷と間接コストの大きな原因になっていることに、多くの企業は気づいていないのが実情です。
その代表的な例が、パスワードのリセット対応です。社員がパスワードを忘れた際、IT部門や情報システム担当者が都度対応する運用は、企業規模が大きくなるほど業務を圧迫します。
とある企業によると、1回のパスワードリセットにかかるコストは約70ドル(約1万円)にものぼるとされており、平均的な大企業はパスワード関連のサポートコストに年間100万ドル以上を費やしています。
仮に1人の社員が年に数回問い合わせを行えば、企業全体での年間コストは膨大になります。加えて、対応にかかる時間や、業務が中断されることによる生産性の損失も見逃せません。
セキュリティ人材不足の中でもできるセキュリティ強化方法
セキュリティ人材の確保が難しい状況において、企業が取るべき現実的なアプローチは、「人を増やす」だけではなく、「今いる人材でセキュリティレベルを維持・向上させる仕組みづくり」にあります。ここでは、セキュリティ人材不足している中で取れるセキュリティを強化する方法を紹介します。
社内でのセキュリティアウェアネス教育導入
セキュリティ人材の不足を補うためにまず着手すべきなのは、既存の社員全員を対象にした教育体制の構築です。セキュリティは専門部門だけの責任ではなく、全社的に取り組むべき課題であり、限られた人材に依存する体制では対応に限界があります。すべての従業員が、基本的なセキュリティ知識などのセキュリティアウェアネス教育を受ける体制を作ることが不可欠です。
その第一歩として有効なのが、フィッシングメールの見分け方や安全なパスワードの作成・管理方法など、日常業務に直結するテーマを扱ったアウェアネストレーニングの実施です。こうしたトレーニングを通じて、従業員一人ひとりがセキュリティリスクを「自分ごと」として捉える意識を育てることが重要です。実際に、セキュリティインシデントの多くは、高度なサイバー攻撃ではなく、一人の従業員によるヒューマンエラーを起点として発生しています。例えば、誤って添付ファイルを開いた、パスワードをメモに残した、私用端末で社内システムにアクセスしたなどのこうした些細な行動が、組織全体の脆弱性となり、攻撃者にとって格好の侵入口となります。
アクセス制御を整える体制
セキュリティ人材が限られている状況では、アクセス権限の管理をいかに効率的かつ正確に行うかが、セキュリティ体制の安定に直結します。アクセス制御が甘いと、不必要な権限の付与や特権アカウントの乱用といったインシデントにつながりやすく、対応の負荷も高まります。
こうしたリスクを防ぐには、最小権限の原則に基づき、アクセス権の付与・変更・削除を定期的に見直すことが基本です。しかし、これらを人手だけで運用し続けるのは負担が大きく、ヒューマンエラーの温床にもなります。そこで効果を発揮するのが、アクセス制御を自動化・可視化できるPAM(特権アクセス管理)ツールの導入です。PAMのようなソリューションを活用すれば、少人数のチームでも一貫性と精度の高いアクセス管理を維持でき、セキュリティ担当者の業務を大幅に効率化できます。
外部リソースやセキュリティベンダーの活用
自社内に十分な人材やノウハウを蓄積するには、どうしても時間とコストがかかります。特に早急な対応が求められる局面では、外部のリソースと連携することが現実的かつ有効な手段となります。たとえば、セキュリティベンダーやITコンサルタントとパートナーシップを結ぶことで、脆弱性診断、インシデント対応、ガバナンス整備など、社内で対応しきれない領域を柔軟に補完することが可能になります。
プロセスを簡易化させるセキュリティツール導入
セキュリティ業務の負担を軽減し、人材不足の中でも安定した体制を構築するには、ツールの導入による業務の自動化と効率化が不可欠です。特に、手動での運用が多く、ミスが起きやすい領域においては、専用のソリューションを活用することで、人的負担とリスクの双方を抑えることができます。
たとえば、パスワードマネージャーを活用することで、社員のアカウント管理やパスワードの強度を自動的にチェックし、安全な認証プロセスを実現することが可能です。これにより、パスワードの使い回しや紙・メモでの管理といった人的ミスによる漏洩リスクを大幅に軽減でき、IT部門の運用負荷も削減されます。
さらに、PAM(特権アクセス管理)を導入することで、サーバーや業務システムなど、機密性の高い環境に対するアクセス権限をきめ細かく制御・監視することができます。
こうしたツールを活用することで、セキュリティ運用が一部の担当者に依存する属人化を避けつつ、組織全体としてのセキュリティレベルを安定的かつ効率的に維持することを可能にしてくれます。
よくある質問
Q. セキュリティ人材が不足している業界や企業規模には傾向がありますか?
A. 中小企業や教育機関、医療機関などは特に人材確保が難しい傾向にあります。大企業であっても、高度なスキルを持つ人材の確保や定着は課題となっています。
Q. セキュリティ人材がいなくても、最低限やっておくべきセキュリティ対策はありますか?
A. パスワード管理の徹底(パスワードマネージャーの導入)、MFA(多要素認証)の実装、ソフトウェアの定期更新、権限管理の見直しなどが基本です。また、ゼロトラストの考え方に基づいたアクセス管理も有効です。
Q. パスワードマネージャーやPAMツールは、具体的にどのような効果がありますか?
A. パスワードマネージャーは、社員が強力なパスワードを簡単に使えるようにし、使い回しや漏洩のリスクを減らします。PAM(特権アクセス管理)は、重要システムへのアクセスを厳格に管理・監視し、内部不正や外部からの不正アクセスを防ぎます。
まとめ:セキュリティ人材不足でもセキュリティ業務を効率化できる仕組みを
ITプロフェッショナルの存在は、これからも企業のセキュリティ体制において不可欠です。しかし同時に、社内のすべての従業員が一定のセキュリティリテラシーを身につけることも、今や欠かせない要素となっています。
また、限られたセキュリティ人材であっても、教育体制の整備、外部との連携、そしてツールの活用によって、業務負荷を最小限に抑えつつ堅牢なセキュリティ体制を構築することは十分に可能です。重要なのは、「人手が足りないから対策できない」と諦めるのではなく、少ない人員でも確実に守れる仕組みを戦略的に整えていくことです。
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