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サイバー攻撃が巧妙に進化する中、近年増加しているサイバー攻撃の手法として、ファイルレスマルウェアが挙げられます。ファイルレスマルウェアは、従来のマルウェアとは異なり、パソコンのOSに標準で組み込まれている正規のツールや機能を悪用して攻撃を行うマルウェアで、正規のツールを利用しているため検出が困難です。
Aqua Securityの2023年クラウドネイティブ脅威レポートでは、ファイルレス攻撃が2022年と比べると、2023年では1400%以上増加したと報告されています。
この記事では、ファイルレスマルウェアの仕組みと従来のマルウェアとの違い、ファイルレスマルウェア感染すると起こりうる危険性、具体的なセキュリティ対策方法についても紹介します。
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ファイルレスマルウェアとは
ファイルレスマルウェアは、従来のマルウェアとは異なり、パソコンのOSに標準で組み込まれている正規のツールや機能を悪用して攻撃を行うマルウェアのことを指します。
ディスクに直接ファイルを保存することなくシステムに侵入するため、ウイルス対策ソフトウェアなどのファイルベースのセキュリティソリューションでは検出が困難であるため、より一層の注意が必要です。
特にWindows環境では、PowerShellやWindows Management Instrumentation(WMI)といったツールを利用して悪意のある活動を行います。これらのツールは本来システム管理や自動化のために使用されるものであり、その利用は通常のシステム運用においては合法的かつ一般的です。そのため、これらを悪用することで、ファイルレスマルウェアは検出を回避しやすくなります。
ファイルレスマルウェアは一度システムに侵入すると、メモリ上で悪意のあるコードを実行し、システムに深刻なダメージを与えることが可能です。例えば、メモリ上でランサムウェアを実行してデータを暗号化したり、キーロガーを動作させてユーザーの入力情報を盗み取ったりします。このように、ファイルレスマルウェアはシステムに大きな影響を及ぼすことができます。
従来マルウェアとファイルレスマルウェアの違い
従来のマルウェアとファイルレスマルウェアの違いは、多岐に渡るため、以下の表を中心にご紹介します。
| 従来のマルウェア | ファイルレスマルウェア | |
|---|---|---|
| 感染方法 | ディスク上に実行可能なファイルを保存し、そのファイルを実行する | ディスクにファイルを保存せず、システムのメモリ上で直接活動する |
| 活動場所 | ディスク上 | メモリ上 |
| 使用ツール | 特定のマルウェアファイル | 正規のシステムツール(例: PowerShell, WMI) |
| 検出方法 | ファイルベースのシグネチャ検出 | 行動ベースの検出、メモリ監視 |
| 検出の難しさ | 比較的簡単に検出・削除可能 | 検出が難しく、より高度な対策が必要 |
従来のマルウェアは、ディスク上に実行可能なファイルを保存し、そのファイルを実行することでユーザーのデバイスにマルウェアを感染させます。これらのマルウェアは、ディスク上で活動し、特定のマルウェアファイルを使用します。
そのため、ウイルス対策ソフトなどのファイルベースのシグネチャ検出により比較的簡単に発見され、削除されることが多いです。
一方、ファイルレスマルウェアはディスクにファイルを保存せず、システムのメモリ上で直接活動します。このタイプのマルウェアは、正規のシステムツール(例: PowerShell, WMI)を悪用して活動を行います。メモリ上で動作するため、ディスクに痕跡を残さず、従来のウイルス対策ソフトウェアでは検出が難しいのが特徴です。
ファイルレスマルウェアの検出には、行動ベースの検出技術やメモリの異常な活動を監視する高度なセキュリティ対策が必要です。また、システム再起動後には痕跡を残さず消えることが多いです。
これらの違いから、従来のマルウェアは比較的簡単に対処できるのに対し、ファイルレスマルウェアは高度な対策が求められるため、企業や個人は最新のセキュリティ技術を駆使し、複数の防御層を組み合わせて防御することが重要です。
ファイルレスマルウェアの主な感染経路
ファイルレスマルウェアは、従来のマルウェアと似た感染経路を経由しますが、ディスクにファイルを残さないため検出が困難です。
ここでは、ファイルレスマルウェアの主要な感染経路について詳しくご紹介します。
メールの添付ファイル
ファイルレスマルウェアの一般的な感染経路の一つは、メールの添付ファイルです。攻撃者は、信頼できる送信者を装って悪意のあるスクリプトが埋め込まれたドキュメントやスプレッドシートを添付してメールを送信します。ユーザーがこれらの添付ファイルを開くと、ユーザーがこれを開いてマクロを有効化すると、マクロが自動的にPowerShellスクリプトを実行し、メモリ上でマルウェアを展開します。
これにより、ディスク上にファイルを保存せずに感染を広げることが可能です。
不正なWebサイト
不正なWebサイトもファイルレスマルウェアの主要な感染経路の一つです。攻撃者は、ユーザーが訪問するWebサイトにエクスプロイトキットを仕掛け、ユーザーが特定のWebページにアクセスするとブラウザの脆弱性を利用してメモリ上に悪意のあるコードを注入します。この方法では、ユーザーが単にWebページを閲覧するだけでマルウェアに感染してしまうため、非常に危険です。
リモートデスクトッププロトコルの脆弱性悪用
リモートデスクトッププロトコル (RDP) を悪用した攻撃も、ファイルレスマルウェアの感染経路として利用されます。攻撃者は、RDPの脆弱性を利用してリモートでシステムにアクセスし、メモリ上で悪意のあるコードを実行します。
RDPを使用しているシステムでは、強力なパスワードポリシーや多要素認証(MFA)を導入することで、これらの攻撃を防ぐことが重要です。
ファイルレスマルウェア感染による被害リスク
ファイルレスマルウェアは、ディスクにファイルを保存せずにメモリ上で活動するため、従来のマルウェアに比べて検出が難しく、被害も深刻化しやすいです。以下に、ファイルレスマルウェアによる主要な被害リスクをご紹介します、
個人の機密情報漏洩
ファイルレスマルウェアは、キーロガーやスクリーンスクレイピングなどの手法を用いて、個人情報や機密情報を盗み出します。これにより、パスワード、クレジットカード情報、個人識別情(Pii)などが漏洩し、個人のプライバシーが侵害されるだけでなく、企業にとっても重大な情報漏洩事件となります。
新たなマルウェアへの感染
ファイルレスマルウェアは、システム内で新たなマルウェアをダウンロードして実行することができます。これにより、さらなる感染が広がり、被害が拡大する恐れがあります。特にランサムウェアやトロイの木馬などのマルウェアが追加でインストールされると、システム全体が大きなリスクにさらされます。
PCの遠隔操作
ファイルレスマルウェアは、リモートアクセスツール(RAT)として機能することもあります。攻撃者は感染したPCを遠隔操作し、任意の操作を行うことができます。これにより、ファイルの閲覧や変更、システム設定の改変などが可能となり、被害が拡大します。
端末内のデータの削除、改ざん
ファイルレスマルウェアは、端末内のデータを削除したり、改ざんしたりすることもできます。これにより、重要なファイルやデータが失われたり、信頼性が損なわれたりする可能性があります。特に企業においては、業務に重大な支障をきたすことがあります。
アカウント乗っ取り
ファイルレスマルウェアは、ユーザーのアカウント情報を収集し、攻撃者に送信することができます。これにより、メールアカウントやオンライン銀行、SNSアカウントなどが乗っ取られるリスクがあります。乗っ取られたアカウントは、さらなるソーシャルエンジニアリングを利用したフィッシング詐欺行為や情報漏洩の手段として悪用されることが多いです。
ファイルレスマルウェアから守る対策方法とは
ファイルレスマルウェアは検出が難しく、深刻な被害を引き起こす可能性があります。以下のような対策を講じることで、ファイルレスマルウェアから組織守り、リスクを低減させることができます。
不審なメール・添付ファイルは開かない
ファイルレスマルウェアは、しばしばフィッシングメールを介して広まります。見知らぬ送信者からのメールや、内容に不自然な点があるメールの添付ファイルは開かないようにしましょう。不審なメールや添付ファイルを開くことで、そのメールに含まれるリンクやマクロが起動することで、ファイルレスマルウェアを呼び込むことになってしまいます。
アプリケーションホワイトリスト
アプリケーションホワイトリストは、組織や個人が信頼できるアプリケーションのみを実行可能にすることで、セキュリティリスクを大幅に低減します。具体的には、まず使用するすべてのアプリケーションを精査し、それらをホワイトリストに登録します。このリストに登録されていないアプリケーションは、一切実行できないように設定されます。
ホワイトリストを導入することで、未知のマルウェアや不正なスクリプトの実行が効果的に防止されます。
権限管理を厳格に行う
権限管理を厳格に行うことは、ファイルレスマルウェアを含むさまざまなサイバー脅威から身を守るのに適切な対策で、攻撃対象領域を狭めることができます。
具体的には、まず、最小権限の原則を組織内で実施し、全てのユーザーに対して、その役割に必要な最小限の権限だけを付与します。
さらに、ロールベースのアクセス制御(RBAC)を組織内で実施することで、ユーザーの役割に基づいてアクセス権限を管理するためネットワークのセグメント化を強化します。
これらを素早く簡易的に実施するためには、Keeperのようなパスワードマネージャーが効果的です。Keeperを利用することで、IT管理者が最小権限の原則とロールベースのアクセス制御を組織内で素早く展開し、機密情報をセグメント化することが可能になります。
また、Keeperは詳細なアクセスログや監査ログを提供するため、ユーザーのアクティビティを常に監視できます。これにより、異常な活動を早期に発見し、迅速に対処することができます。
ソフトウェアやデバイスをアップデートする
常に最新のソフトウェアやデバイスのアップデートを適用することは、ファイルレスマルウェアのような脆弱性を悪用するサイバー攻撃を防ぐために重要な対策です。
セキュリティパッチや更新プログラムは、これらの既知の脆弱性を修正し、システムを保護するためにリリースされます。
定期的にこれらのアップデートを適用することで、攻撃者が脆弱性を悪用してファイルレスマルウェアを仕込むのを防ぐことができます。
エンドポイント検出ツール
エンドポイント検出および対応(EDR)ツールを導入し、異常な活動や不正なアクセスを監視・検出します。EDRツールは、メモリ上での異常な動作やシステムツールの不正利用をリアルタイムで検出し、迅速な対応を可能にします。
従業員のセキュリティ意識の向上
従業員は組織の中でも一番の弱点になり得ます。
従業員がサイバーセキュリティのベストプラクティスについてトレーニングを受けていない場合、従業員のデバイスからサイバー攻撃の被害に遭う可能性は非常に高くなります。
組織は毎月トレーニングセッションを実施し、従業員が会社所有のデバイスで何をすべきで、何をすべきでないかを教える必要があります。 従業員にトレーニングさせるべき事項には、以下のようなものがあります。
- ソフトウェアとデバイスを常に最新の状態に保つ
- 強力なパスワードと適切なパスワード管理
- アカウントにはMFAを設定させる
- ソーシャルエンジニアリングの試みに注意する
- 一方的に送られてくるリンクや添付ファイルをクリックしない
- 怪しいウェブサイトへのアクセスを避ける
- 未承認のソフトウェアをダウンロードしない
ファイルレスマルウェアをはじめ、あらゆる一般的なセキュリティの脆弱性に対して対抗するために一般的なセキュリティ対策を施しておくことがリスク低減の鍵になります。
まとめ:ファイルレスマルウェアの被害に遭わない対策を
ファイルレスマルウェアは、従来のマルウェアと異なりディスクにファイルを残さず、メモリ上で活動するため検出が難しい特徴があります。
これを防ぐためには、ここで紹介してきたいくつかの重要な対策を講じる必要があります。
特に従業員がターゲットにされやすいからこそ、基本的なセキュリティ対策である従業員のセキュリティ意識向上は欠かせません。
また補えない部分をエンドポイント検出ツールやネットワークのセグメント化を行うためにKeeperのようなパスワードマネージャーを使った権限管理を厳格に行うことでさらにリスクを低減させることができます。
これらの対策を組み合わせることで、ファイルレスマルウェアのリスクを減らすだけでなく、あらゆるサイバー脅威から組織を予防することができます。
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