デジタル遺産とは？整理方法や安全な共有方法を紹介

デジタル時代の到来に伴い、スマートフォンやパソコンの普及が進んでいますが、それにより「デジタル遺産」という新たな概念が注目を集めています。しかしながら、多くの人がこのデジタル遺産をどのように管理すべきか、具体的な方法について不明な点が多いかもしれません。

現代の平均的な人で、毎日約2時間半をSNSに費やし、場合によってはインターネットに最大6時間を費やしているので、大半の人がウェブ上にデジタル遺産を築いていると言えるでしょう。

本記事では、デジタル遺産の定義や、それに関わる問題点、整理の重要性、具体的な整理方法、相続人となった場合の手続き方法、さまざまな種類のアカウントを管理する方法について説明します。などを詳細に説明していきます。

デジタル遺産とは？

デジタル遺産とは、、故人が生前にデジタル形式で作成、または所有していた資産や情報のことを指します。これは、インターネット上のすべてのやり取り、認証情報、投稿、銀行口座アカウント、SNSアカウントなどが組み合わさったものです。デジタル資産には、オンラインアカウント以外にも、デバイス、仮想通貨、クレジットカードポイント、航空会社のマイル、ウェブブラウザのブックマーク、マルチメディア、医療記録などがすべて含まれます。

デジタル遺産の主な種類やカテゴリーとは

デジタル遺産は、その性質や用途に応じて複数のカテゴリに分類することができます。以下に主な種類をリストアップし、それぞれの特徴を簡潔に説明します。

オンラインアカウント

・ソーシャルメディア: Facebook, Instagram, Twitterなど。個人の思い出やコミュニケーションの記録。

・電子メールアカウント: Gmail, Yahoo! Mailなど。重要な通信記録や情報が含まれることが多い。

・オンラインバンキングや投資アカウント: 銀行、証券会社などのアカウント。金融資産の管理に関わる。

・オンラインショッピングアカウント: Amazon, eBayなど。購入履歴やデジタルコンテンツへのアクセス権。

デジタルファイル

・写真やビデオ: 家族の思い出や重要な出来事の記録。

・文書: Word, PDFなどの形式で保存された個人の文書、作業ファイル。

・音楽ファイル: MP3などの形式で保存された音楽コレクション。

デジタル通貨と資産

・暗号通貨: ビットコインやイーサリアムなどのデジタル通貨。

・ゲーム内アセット: オンラインゲーム内での通貨、アイテム、不動産。

オンラインサービスに関連するアセット

・ドメイン名: ウェブサイトのアドレス。ビジネスや個人のプロジェクトに関連するもの。

・ホスティングアカウント: ウェブサイトやデータをホストするためのサービスアカウント。

デジタル遺産に換算されないもの

デジタル遺産に換算されないものとは、主に使用権限やアクセス権が個人に限定され、法的に相続や引き継ぎが認められていないものを指します。具体的には、サブスクリプションベースで提供されるメディアサービスや、個人的な使用を前提としたソフトウェアライセンスなどが該当します。これらは契約上、購入者の生涯にのみ使用が許可されており、故人の死後には使用権が消滅することが多いです。また、一部のオンラインプラットフォームやサービスでは、利用規約によってアカウント情報や関連コンテンツの相続を明示的に禁止している場合もあります。そのため、これらのデジタル資産は、遺産として相続人に引き継ぐことが困難または不可能であると考えられています。

デジタル遺産について計画すべき5つの理由

生きている間に死後のことについて話すのは奇妙に感じられるかもしれませんが、死後について計画することで、生涯に行ったオンライン上のすべての努力を保護し、保存することができます。

デジタル遺産について準備すべき主な理由を以下に示します。

個人情報の保護

個人情報の保護に関してデジタル資産を適切に管理することは、生前はもちろん死後も個人のプライバシーやオンラインでの存在を守る上で重要です。不正アクセスや情報漏洩を防ぎ、オンラインアイデンティティの乱用を避けるためには、生前にパスワードやアクセス情報を安全な方法で記録し、信頼できる人物にのみその情報を共有することが推奨されます。

不要なコストの削減

不要なコストの削減において、定額課金サービスや自動更新サブスクリプションの支払いを停止することは、無駄な経済的負担を防ぐ上で極めて重要です。生前にこれらのサービスの一覧を作成し、契約情報や解約方法を明確に記録しておくことで、故人の死後、遺族は迅速にこれらのサービスを確認し、必要に応じて契約を解除することができます。

相続トラブルの回避

相続トラブルの回避については、デジタル資産の明確化が非常に重要です。デジタル資産の詳細なリストとアクセス方法を予め整理し、適切に文書化しておくことで、故人の意志が明確に反映され、相続人間での誤解や不一致を最小限に抑えることができます。これにより、相続時の分割協議が円滑に進行し、遺産に関する不必要な法的紛争や家族間の争いを防ぐことが可能になります。

重要な資産の保全のため

銀行口座の詳細、デジタル写真やビデオ、重要な文書など、デジタル形式で保存されている資産は無くなってしまうと取り戻しが難しいため、これらを保護し、適切な相続人に引き継ぐことが重要です。

遺族への負担軽減

デジタル資産の詳細とアクセス方法を明確にしておけば、遺族が故人のデジタル遺産に関して直面するかもしれない困惑や法的な問題を軽減できます。

デジタル遺産を保護するまでの3ステップ

生きている間にあらかじめ適切な準備を行うことで、デジタル遺産が抱える欠点を避けることができます。デジタル遺産を保護するための3つのステップを以下に示します。

デジタル資産の棚卸しをする

物理的な財産と同じように、オンラインプレゼンス、認証情報、デジタル資産の棚卸しをする必要があります。財産には、ロイヤルティカードなどの無形資産や、定期購読などの負債も含まれます。

デジタル資産計画を作成する

デジタル資産計画を作成することで、デジタル相続人が各資産を管理する方法について規定できます。例えば、計画に、どのアカウントを閉鎖するか、開いたままにするか、保留にするか、そしてその期間を定めるかもしれません。デジタル資産計画は、オンラインの個人情報を保護し、サイバー犯罪者による悪意のある試みから保護します。

デジタル資産を適切な人に割り当てる

デジタル資産計画の実行を容易にするために、財産を管理するデジタル相続人を指定します。すべての認証情報と資産を円滑に転送する方法について考えてみましょう。デジタル形式の遺言、証書、税務申告書などの重要な文書を、パスワードマネージャーなどの安全な場所に安全に保存する必要があります。

ソーシャルアプリによるデジタル遺産の取り扱い

SNSは、インターネットの最も人気のある用途の 1 つです。ソーシャルアプリやコミュニケーションアプリは、ユーザーが亡くなった場合に以下のような対応をとっています。

• Google では、非アクティブ期間の終了後、最大10人に通知できるようになっています。選択した期間（6、9、12、または18か月）が過ぎると、ユーザーが指定したアカウントに通知が送信され、受信者はユーザーが指定したデータをダウンロードすることができます。また、非アクティブ期間が終了する1か月前にアラートが発信されます。
• X（旧Twitter） は、デジタル遺産の連絡先を登録するオプションを提供していません。ただし、親族が、あなたとの関係を示すプライバシーフォームに記入して、アカウントを無効にすることはできます。友人や家族にアカウントを管理してもらう場合は、認証情報を提供する必要があります。そのためにパスワードマネージャーが重要になります。Keeperでは、デジタル資産を管理できる緊急連絡先と、認証情報を共有する機能を提供しています。
• Microsoft では、近親者を指定することはできますが、近親者にユーザー名とパスワードを提供していない限り、ユーザーのログイン情報にはアクセスできません。デジタル資産の遺言執行者、近親者、または後援者が確認されると、Microsoftは、アカウントデータが記録されたDVDを相続人に提供します。プロセスを開始するには、近親者が msrecord@microsoft.com にメールで連絡し、権利の証拠とユーザーの死亡を証明する資料を提供する必要があります。
• Facebook には、アカウントの詳細を表示できる遺産連絡先を指定するオプションがありますが、タイムラインにあなたが死亡した旨の投稿をピン留めすることのみに制限されています。遺産連絡先は、友達リクエストの承認または拒否や、ユーザーが許可した場合は、プロフィール情報、写真、動画のアーカイブのダウンロードもできます。
• Metaが所有する Instagram には、Facebookと同様に、遺産連絡先のオプションはありません。追悼アカウントオプションがあり、ユーザーはアカウントを表示できますが、アプリの公開アーカイブには表示されなくなります。

金融機関によるデジタル資産の取り扱い

• 銀行などの金融機関では、配偶者、家族、または管理者の有効なIDカードと、本人に代わって事務を執行する許可の証明が必要です。銀行では、死亡証明書、故人の正式氏名、マイナンバー、銀行口座番号、その他の個人情報の証明書の写しなども要求されます。故人の当座預金口座は、信託名義でも保有することができます。

• 最も人気のある仮想通貨取引所である Binance では、ユーザーが亡くなったことを示す死亡証明書などの証拠がある場合に、遺族がアカウントを無効にしてユーザーの財産を管理する権限を確立することができます。この機能は、故人が顧客確認（KYC）レベル2検証を行った場合にのみ、近しい人が使用可能になります。これにより、Binance は仮想対話でもユーザーを検証することができています。

• 住宅ローン提供者は、連邦法により、ローンの適格性の再検証をしなくても、財産を相続する遺族、個人、または事業体が支払うことを許可する必要があります。相続人は、家を保持する必要はなく、売却を選択することもできます。誰も不動産の所有権を相続しなかった場合、住宅ローン会社は住宅の抵当流れ処分手続きを開始します。

これらの手続きのほとんどで、近しい人がさまざまな個人書類を扱える必要があります。パスワードマネージャーは、データをボルト内に安全に保管することで、家族や友人が書類を探す手間を省きます。

Keeperでは、事業主向けに、デジタル資産とログイン情報を保管し、資産管理者と共有できる機能を提供しています。

デジタル遺産の管理にパスワードマネージャーが役立つ理由

パスワードマネージャーはデジタル遺産の管理に役立つ理由は多岐にわたります。そこで具体的になぜ、パスワードマネージャーがデジタル遺産を管理するのに役立つのか理由をいくつか挙げてみました。

家族とデジタル遺産の一元管理ができる

パスワードマネージャーを利用することで、複数のアカウントを一箇所で管理することが可能となり、アカウント情報の追跡や更新が格段に簡単になります。これにより、各種サービスへのログイン情報を探すために多くの時間を費やす必要がなくなり、情報を一目で把握できるため、デジタル遺産の管理がより透明かつ効率的に行えるようになります。また、アカウントの概要を確認しやすくなるため、必要ないサービスや重複しているアカウントに気付きやすくなります。

強力なセキュリティで情報保護

高度な暗号化技術を採用しているパスワードマネージャーは、ユーザーの情報をハッカーから守る強力なセキュリティを提供します。

強力なパスワードの生成機能を利用することで、各アカウントのセキュリティレベルを一層高めることができ、オンライン上での個人情報の漏洩リスクを大幅に軽減します。さらに、安全なパスワードを定期的に更新することで、セキュリティの安全性を維持し続けることが可能です。

アクセスの容易さ

パスワードマネージャーを使用すると、個々のアカウントのログイン情報を覚える必要がなくなります。多くのパスワードマネージャーは自動入力機能を提供しており、これによりユーザーは迅速にアカウントにアクセスできるようになります。また、クロスプラットフォーム対応のため、様々なデバイスから同じアカウント情報に簡単にアクセスできる利便性があります。

安全な共有機能

パスワードマネージャーには安全な共有機能が備わっており、これがデジタル遺産管理のさらなる利点を提供します。安全な共有機能により、ユーザーは重要なアカウント情報を信頼できる家族やビジネスパートナーと安全に共有できます。この機能は、特に緊急時や遺産計画の文脈で極めて価値があります。

また、それぞれのログイン情報や、重要なファイルなどにそれぞれアクセス権を与えることができるので、より安全に家族でも決まった人だけに共有することができます。

まとめ：パスワードマネージャーで適切にデジタル遺産を管理しましょう

さまざまなアプリが近親者に対する手順を提供していますが、すべてのオンライン資産を追跡するのは困難な作業になる可能性があります。Keeper(キーパー)のようなパスワードマネージャーは、認証情報や重要なファイルを管理し、適切な人と共有するのに役立ちます。

なので、家族内の決まった人とだけにデジタル遺産を管理するのに、とても向いています。

パスワードマネージャーと言いながら、パスワード以外にもクレジットカードやファイル情報なども保管して、安全に共有することが可能です。

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