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組織におけるアクセス制御を効果的に実装するためには、ゼロトラストモデルの導入をはじめ、最小権限の原則の適用やロールベースのアクセス制御(RBAC)の実施といったベストプラクティスの採用が不可欠です。これらの取り組みに加えて、明確なポリシーを定め、組織全体で一貫性のある管理体制を構築することが重要となります。
しかし実際のところ、組織内でのアクセス制御の運用にお困りではありませんか?
たとえば、退職した従業員のアクセス権限が残ったままになっているケースや、他部署の業務に関係のない従業員が過剰なアクセス権を持っているといった状況は、重大なサイバーセキュリティリスクを引き起こす原因となります。こうしたリスクを防ぐには、アクセス権の付与と削除のルールを厳格に定めることが求められます。
そこで、このブログでは、アクセス制御とは何か、アクセス制御が必要な理由、組織でアクセス制御を実装する際の7つのベストプラクティスなどをご紹介します。
アクセス制御とは?
アクセス制御とは、特定のユーザーやシステムがデータやリソースにアクセスできるかどうかを決定するセキュリティ対策です。企業や組織では、機密情報や重要なシステムへの不正アクセスを防ぐために、適切なアクセス制御の導入が不可欠です。
特にオンラインストレージの権限管理においては、誰にどのようなアクセス権限を付与するかを明確にする必要があります。
アクセス制御には、大きく分けて認証・認可・監査という3つの要素があります。
- 認証:認証とは、ユーザーやシステムが正当なものであるかを確認するプロセスであり、パスワード、生体認証、多要素認証、パスキーなどの手法が用いられます。
- 認可:認可は、認証されたユーザーがどのリソースにどのような権限でアクセスできるかを決定するプロセスです。たとえば、閲覧権限のみを付与するか、編集や削除も許可するかなどを、事前にルールとして設定しておきます。この認可の実装には、ロールベースアクセス制御(RBAC)や属性ベースアクセス制御(ABAC)が代表的であり、ユーザーごとに適切なアクセス権限の設定を行うことで、アクセス権限の一覧表の作成・管理が容易になります。
- 監査:監査は、認証や認可の運用状況を記録・分析し、不正アクセスや異常なアクセス権管理の兆候を検出する役割を担います。たとえば、不要な権限を付与したままにしていた場合や、ストレージ権限をオンにするとはどういう意味かを見直す機会として、監査が有効です。
定期的にアクセスログを監査し、アクセス権限の設定を見直すことで、権限の設定ミスやアクセス権の付与漏れといったリスクに対して、適切な是正措置を講じることができます。
アクセス制御が必要な理由とは?
企業の情報資産を守るためには、適切なアクセス制御が欠かせません。アクセス制御が組織内で適切に実施されていない場合、アクセス権限の設定ミスや権限の付与不備により、さまざまなセキュリティリスクが生じる可能性があります。ここでは、アクセス制御が必要とされる主な理由について解説します。
機密情報の漏洩を未然に防ぐため
企業が保有する機密情報には、顧客情報、財務データ、知的財産、従業員の個人情報などが含まれます。これらの情報が外部に漏洩すれば、企業の信用が失墜し、法的責任に発展するリスクもあります。
このような事態を防ぐには、アクセス権とは何かを明確に定義し、最小権限の原則に従って、業務に必要な範囲でのみアクセス権限を付与することが重要です。たとえば、営業部門には顧客情報への閲覧権限を、経理部門には財務情報へのアクセス権限を与えるといったように、最小権限の原則に基づいたアクセス権限の設定を行うことで、内部からの情報漏洩を未然に防ぐことができます。
また、アクセス権限の一覧表を作成し、誰がどの情報にアクセスできるのかを可視化することで、より安全な情報管理が実現できます。
内部脅威のリスクを軽減させるため
外部からのサイバー脅威に加え、近年では内部からの不正アクセスや情報漏洩も深刻なリスクとして注目されています。たとえば、退職した従業員のアクセス権限が削除されずに残っていると、長期間にわたり組織のデータにアクセスされる可能性があります。
このような事例を防ぐためには、アクセス権限の管理体制を整備し、不要な権限の付与を避けることが必要です。具体的には、ユーザーごとに権限を付与する際の手順を標準化し、アクセス権限の管理ポリシーに従って定期的な見直しを実施することが有効です。
さらに、アクセス端末の設定を制限し、不審なアクセスをリアルタイムで監視する仕組みを構築することで、異常な挙動を即座に検知し、対応につなげることが可能です。
サイバー攻撃を防ぐため
サイバー攻撃は年々巧妙化しており、アクセスを許可するとどうなるかを十分に理解しないまま権限を付与すると、ランサムウェアやフィッシング攻撃の被害を拡大させる恐れがあります。
例えば、組織内のストレージへのアクセス権限とは何かを明確にし、不要なストレージ許可を制限することで、万が一の侵入にも迅速な封じ込めが可能になります。特に共有ストレージにおいては、ストレージの権限設定によるデメリットを認識した上での運用が求められます。
コンプライアンス対応のため
近年では、企業が保有する個人データや機密情報に対して、適切なアクセス管理を実施することがコンプライアンスで強く求められるようになっています。
グローバル企業にとっては、個人情報保護法だけでなく、GDPR(EU一般データ保護規則)など、さまざまな国際的な法規制の遵守が求められています。
例えば、日本の企業が欧州と取引を行う場合、GDPRに基づくデータ保護規制の遵守が必要です。このため、個人データへのアクセスを管理し、アクセス権限の厳格な制御を実施することが不可欠となります。GDPRでは「データ最小化原則」に基づき、必要なデータへのアクセスを最小限に制限することが義務づけられています。
また、金融業界や医療業界では、個人情報を守るための法的要求が特に厳しく、例えば、金融庁が定める「金融機関の情報セキュリティ管理基準」や、医療機関で求められる「医療情報管理規程」などに準拠するためにも、アクセス制御は欠かせません。
組織でアクセス制御を実装する際の7つのベストプラクティス
アクセス制御の管理が不十分だと、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まり、組織のセキュリティが脅かされる可能性があります。
そこで、ここでは、アクセス制御を適切に運用するための7つのベストプラクティスを紹介します。
1 最小権限の原則の適用
最小権限の原則(PoLP)は、ユーザーがその業務を遂行するために必要な最小限の権限のみを付与するという基本的なセキュリティ原則です。この原則を適用することで、従業員が不必要な情報やシステムにアクセスできるリスクを減らすことができます。例えば、新入社員には基本的な業務に必要なアクセス権限だけを付与し、業務が進むにつれて必要に応じてアクセス権限を追加していくという形です。これにより、権限が過剰に付与されることなく、従業員は業務に必要な範囲でのみアクセスできるようになります。
そのため、最小権限の原則に従ったアクセス制御を組織内で実施していくことが鍵となります。
2 ロールベースのアクセス制御(RBAC)の導入
次に、ロールベースのアクセス制御(RBAC)を組織内で実施することです。
ロールベースのアクセス制御(RBAC)は、ユーザーに役割ごとにアクセス権を設定する方法です。これにより、個々のユーザーごとに細かく権限を管理する手間を省き、業務に必要な権限を持った役職者だけが特定のシステムやデータにアクセスできるようになります。例えば、経理部門の社員には財務システムにアクセスできる権限を与える一方、営業部門の社員にはその権限を付与しないようにすることで、権限が不要な従業員が不正にシステムへアクセスするリスクを減らすことができます。このようなロールベースのアクセス制御を導入することで、システム全体のセキュリティを強化しつつ、権限管理の効率化も実現できます。
もちろん、組織によってはより細かくアクセス制御が可能な属性ベースのアクセス制御(ABAC)の導入が求められる場合もあります。しかし、アクセス制御が適切にされていない状況では、まずはシンプルで適用しやすいロールベースのアクセス制御(RBAC)を導入し、段階的に展開していくことも有効な戦略の1つです。
3 ゼロトラストモデルを採用する
ゼロトラストモデルは、「誰も信用しない」ことを前提に、すべてのアクセスを厳格に監視し、認証を行うセキュリティフレームワークです。従来のセキュリティモデルでは、社内ネットワークにアクセスすると内部のシステムにも比較的簡単にアクセスできましたが、ゼロトラストモデルでは、ネットワーク内外を問わずすべてのアクセスを検証する必要があります。これにより、仮に社内ネットワークに侵入されたとしても、攻撃者が他の重要システムにアクセスすることを防ぐことができます。ゼロトラストの実装には、例えば、多要素認証(MFA)の使用や、すべてのリソースへのアクセス時に個別に認証を要求することが含まれます。このように、ゼロトラストモデルを採用したセキュリティワイヤーフレームを実装していくことで、内部脅威を含むネットワーク内部からの攻撃のリスクも大きく軽減することができます。
4 アクセス権の可視化を確保する
アクセス権を可視化することは、誰がどの情報にアクセスできるかを明確に把握し、不正アクセスを早期に発見するために不可欠です。アクセス権を可視化することで、権限が過剰に付与されていないか、ユーザーが不要なデータにアクセスしていないかを監視することができます。また、アクセスログを定期的に監視し、異常なアクセスがあった場合には即座に検知できる体制を整えることが重要です。
KeeperPAM®︎などのアクセス権限可視化ツールを導入すれば、SIEMとの連携が容易になり、細かいアクセスログの管理が可能になります。これにより、適切なアクセス管理を維持しやすくなります。
5 定期的なアクセス権限レビューを実施する
アクセス権限は一度設定したら終わりではなく、定期的に見直すことが求められます。特に、従業員の異動や退職、新しい役職への昇進などにより、不要な権限を持ったままのユーザーがいると、内部脅威などを原因とした情報漏洩のリスクが高まります。
アクセス権限レビューは、役職が変更された際やプロジェクトが終了したタイミングなどでその都度実施し、不要なアクセス権を削除することが重要です。
6 ジャストインタイムアクセスを設定
ジャストインタイムアクセスは、必要なときにのみ一時的にアクセス権を付与する方法です。
特に特権昇格を伴うアクセスでは、作業完了後に自動で権限を解除する仕組みを導入することで、不正利用のリスクを大幅に低減できます。
例えば、システム管理者が特定の業務を実施する際、一時的に特権昇格を許可し、作業完了後に自動的に通常の権限に戻すことで、不要な権限の保持を防ぐことが可能です。この仕組みにより、攻撃者が管理者アカウントを悪用するリスクを最小限に抑えつつ、業務の円滑な遂行をサポートできます。
7 セキュリティ教育を徹底する
組織内でアクセス制御を実施する上で、ソリューションツールなどの技術的な対策だけではなく、従業員のセキュリティ意識を高めることも重要です。
定期的なセキュリティアウェアネス教育トレーニングを通じて、従業員が不審なアクセスや内部脅威のリスクを認識し、適切な対応ができるようにすることが求められます。
特にフィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングに対する訓練を実施することで、従業員のセキュリティ意識を高め、不正なアクセスのリスクを低減できます。これにより、アクセス制御の技術的な対策を補完し、人的ミスによるセキュリティインシデントの発生を防ぐことが可能になります。
また、従業員がセキュリティポリシーや手順を理解し、遵守することで、全体的なセキュリティレベルを向上させることができます。
まとめ:KeeperPAMで組織内アクセス権限の制御を安全に実現
アクセス権限の制御を実施することは、組織のセキュリティを強化し、内部脅威や情報漏洩のリスクを低減するために不可欠です。
ゼロトラストを始めとした、最小権限の原則の適用、ロールベースのアクセス制御(RBAC)の導入、ジャストインタイムアクセスの設定などのベストプラクティスを組み合わせることで、より適切なアクセス制御が可能になります。
さらに、アクセス権限の可視化や定期的な監査を行うことで、不要な権限の付与を防ぎ、さらなる脅威を未然に防ぐことが可能です。
KeeperPAMのような次世代型PAMソリューションを活用すれば、これらのベストプラクティスを効果的に実践し、組織のアクセス制御を強化できます。特権アクセスの管理、詳細なログの記録、SIEMとの連携など、多くの機能を備えており、安全なIT環境を維持するための強力なサポートを提供します。
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