クラウドおよびアイデンティティプラットフォームにおけ
現代の攻撃対象領域で最も悪用されやすい要素の1つは、永続的な特権、つまり、不要になった後もずっとアカウントに残っている恒常的なアクセス権です。 永続的な特権が存在すると、静的な認証情報は盗まれやすくなります。また、過剰にプロビジョニングされたアカウントであれば、想定される以上に広範なアクセス権を攻撃者に与えてしまいます。 ゼロスタンディング特権 (ZSP) は、アクセス権を必要なときにのみ付与し、タスク完了と同時に取り消して残さないようにすることで、これらの問題を解決します。 しかし、常時アクセスからアクセス権なしに移行するには、組織全体のほぼすべてのシステム、ID、ワークフローに影響が及ぶため、ZSPの実現は言葉で言うほど簡単ではありません。 ゼロスタンディング特権によくある課題としては、一時的なアクセスに対応していないレガシーシステム、マシンアイデンティティの保護、組織的な抵抗、監査人へのコンプライアンスの証明などが挙げられます。
以下では、ゼロスタンディング特権に最もよくある課題、その対処法、そこでKeeper®がどのように役立つかをご紹介します。
ゼロスタンディング特権に最もよくある6つの課題
どのような組織にもゼロスタンディング特権は望ましいものですが、その実現は必ずしも容易ではありません。 では、ZSPに最もよくある課題とそれぞれの対処法を見ていきましょう。
1. レガシーシステム
従来のインフラやアプリケーションは、ログインが常に利用可能であるようにするために、恒常的な認証情報で動作するように構築されていました。 これはZSPが求める要件とは正反対です。従来のシステムは多くの場合、「その場でネイティブにアクセス権を付与し、直後に取り消す」という方法ができないため、ZSPモデルを適用するのが最も困難な領域の1つとなっています。 解決策としては、一度にすべてを移行するのではなく、まずは最もリスクの高いシステムから段階的に移行を開始し、レガシーシステムの前段に特権アクセス管理 (PAM) プロキシを配置する策があります。 プロキシがゲートキーパーとして機能することで、従来のシステムはこれまで通りの方法で動作し続け、PAMツールが一時アクセスを仲介してすべてを記録します。
2. 非人間アイデンティティ (NHI)
永続的な特権は人間だけの問題ではありません。非人間アイデンティティ (NHI) にも当てはまります。 サービスアカウントや自動化では、長期間有効な認証情報が使われていることがよくあります。実際には人間が使用するものではないため、一度設定されたまま忘れられ、誰もローテーションや失効を行わないまま放置されがちです。 これらのIDには特権アクセスが付属していることが多く、クラウドネイティブ環境では、人間ユーザーの約144倍に上るとされているため、攻撃対象領域中でも、増加しているにもかかわらず見落とされがちな領域です。 NHIについても、組織は人間のユーザーに適用しているのと同等の厳格さで管理する必要があります。長期間有効な認証情報を、実行時に発行され、有効期限が自動解除される短期間有効な認証情報に置き換えることで、窃取される可能性のある永続アクセスを残さないようにします。
3. エージェント型AI
マシンアイデンティティに加え、AIエージェントも、ゼロスタンディング特権を適用する際にまた別の障害をもたらします。 これらは一時的なもので、特定のタスクを処理し、実行時にアクセスする必要があるものだけで機能するように設計されています。 組織が事前にアクセス権限をプロビジョニングしようとすると、万が一に備えて過剰にプロビジョニングしてしまい、アクセス権が蓄積され、本来の適用範囲から逸脱していきます。 これに対しては、AIエージェントには実行時にのみアクセス権を付与すること、各トークンの権限範囲をエージェントが使用する特定のタスクやツールに厳密に限定すること、タスク完了と同時にアクセス権を失効することが必須となります。
4. RBACの複雑さ
ロールベースのアクセス制御 (RBAC) はゼロスタンディング特権に適した基盤となりますが、大規模な環境でタスク単位のきめ細かなロールを正確に定義することは困難です。 ユーザーが新たな責任を担うにつれてロールは変化します。その一方で、権限は時間とともに蓄積され、慎重に設計されたロールであっても、やがて組織に必要な特権アクセスを反映しなくります。 解決策は、定期的なアクセスレビューと権限の自動検出によってロールの正確性を維持し、使用されていないアクセスを特定するとともに、属性ベースのアクセス制御 (ABAC) への移行を進めることです。
5. 抵抗感と生産性の摩擦
人は永続アクセス権を自分の所有物のように扱う傾向があるため、放棄を求めると抵抗につながります。また、権限の申請と承認のワークフローによってペースの速いチームの業務スピードが落ちるのではないかという懸念が生じます。 この反発に対処しないまま放置すると、導入は軌道に乗る前に頓挫してしまいます。 解決の鍵となるのはコミュニケーションです。なぜ変更が重要なのかを説明し、永続アクセスが原因となった実際の情報漏洩事例を用いて、抽象的なものではなく具体的にリスクを理解できるようにします。
6. 監査可能性のギャップ
誰がいつ、何に、なぜアクセスしたかをリアルタイムで可視化できなければ、ZSPが実際に機能していることを証明するのは非常に困難です。 アクセスの付与や取り消しが適切に行われていることを組織が実証できなければ、監査人を納得させることはできません。ましてや、自分たちがそのモデルを信頼することもできません。 これに対処するには、一元化されたログ管理、セッションの監視と録画、継続的なアクセスレビューを実施し、監査人に直接提示できる記録を作成する必要があります。 証明可能な可視性こそが、ZSPを単なる理論上のポリシーから実際に検証可能なものへと変える鍵となります。
ゼロスタンディング特権の課題への取り組み方
ZSPに関連する多くの課題は確かに現実のものですが、適切な策を取り入れて解決することができます。 こちらに、組織でゼロスタンディング特権を実現するための手順をご紹介します。
- 永続的な特権と非人間アイデンティティを検出してインベントリ化: まず、永続アクセス権を持つすべてのアカウントをリストアップします。人間のアカウントだけでなく、サービスアカウントやAIエージェントなどのマシンアイデンティティも対象です。
- リスクレベルに応じて優先順位を付ける: 侵害された場合にどの程度の被害が発生し得るかをリスク順にランク付けします。まず、特権管理者アカウントやAIエージェント、重要システムに関わるものなど、リスクが最も高い項目から優先的に評価します。
- 限定的で価値の高い使用例に試験導入: まずは、すべての領域に展開する前に、重要でありながら管理可能な1つの領域でZSPモデルをテストします。これにより、管理された環境でモデルが機能することを実証し、問題を修正できるため、初期段階のミスが組織全体に影響するのを防げます。
- 申請、承認、取り消しのプロセスを自動化: モデルが有効に機能することを確認したら、手作業によるプロセスをなくして自動化し、ZSPを大規模な環境で継続的に機能させます。これにより、取り消し漏れによって永続的な権限が再び発生する事態を効果的に防ぐことができます。
- 継続的な監査とコンプライアンスの実証: アクセスの付与と取り消しが意図したとおりに行われていることを継続的に検証し、その仕組みが、監査人の要求を満たすよう、長期にわたって適切に機能していることを確認できる記録を残します。
Keeperでゼロスタンディング特権の課題を克服
アクセス権を適切な順序で付与し、自動化することで、ゼロスタンディング特権は一見難しそうなものから、管理できる仕組みへと変わります。Keeper特権クラウドは、申請があり、承認を受け、必要となった場合にのみ昇格された権限を付与し、承認された期間が終了すると同時にその権限を自動的に失効させることで、ZSPを強制適用します。 Keeperは、AWS、Microsoft Entra ID、Google Cloud、Okta、Active Directoryなど、既存のIDプロバイダと連携して利用できます。 また、誰がアクセスを申請したのか、誰が承認したのか、いつ有効期限が切れたのかについて、完全な監査証跡も保持します。 自動昇格と完全な可視性を組み合わせることで、ZSPに関わる最も難しい課題のいくつかに対応できるだけでなく、維持管理が必要な別の独立したシステムを導入する必要もありません。
ぜひKeeperPAMのデモをお申し込みいただき、どのように組織全体で永続的な特権を排除できるかをご体験ください。
よくある質問
なぜゼロスタンディング特権の実装はこれほどまで難しいのでしょうか?
ゼロスタンディング特権の実装が難しいのは、組織内のほぼすべてのシステム、ID、ワークフローに関わるためです。 レガシーシステムでは常時有効な認証情報がデフォルトで存在し、NHIやAIエージェントは見落とされやすく、ロールは時間とともに変化します。また、チームが常時有効なアクセス権を手放すことに抵抗を示すことも少なくありません。 ZSPモデルを大規模な環境全体に一貫して適用しようとすると複雑になるため、すべてを一度に切り替えるのではなく、自動化を活用しながら段階的に導入するほうが効果的です。
レガシーシステムにゼロスタンディング特権を適用できますか?
ゼロスタンディング特権はレガシーシステムにも適用できますが、レガシーシステム単体でゼロスタンディング特権を適用できるとは限りません。 古いアプリケーションは恒常的な認証情報で動作するように設計されているため、ネイティブにオンデマンドでアクセス権を付与して、作業後即座に取り消すことができません。 この問題の回避策は、システムの前段にPAMプロキシを配置してゲートキーパーとして機能させ、一時アクセスを仲介するとともに、アクセス許可を制御し、すべてのセッションをログに記録するようにすることです。この方法で、ネイティブでは対応できないシステムにも、同様のZSPスタイルの制御を実現できます。
永続的な特権を削除した場合、緊急アクセスはどうなりますか?
永続的な特権を削除しても、緊急アクセスの必要性がなくなるわけではありません。その対応方法が変わるだけです。 複数の常時有効な管理者アカウントを各システムに分散して残すのではなく、緊急アクセスを緊急用アカウントに統合します。これは、通常の依存関係から切り離して保持する専用の管理者アカウントとして機能し、障害や設定ミスが発生した場合でも、承認を受けた管理者がサインインできるようになります。 緊急用アカウントは、ZSPから逃れるための抜け道ではなく、意図的かつ厳格に管理された例外措置です。このアカウントは保管庫に保管され、MFA (多要素認証) と強力なパスワードで保護され、使用時にはアラームが作動し、すべての操作が完全にログに記録されます。この方法で緊急アクセスを確保しつつ、このアカウントに備わっている常時アクセス権限を、厳重に監視された単一のアカウントに限定することができます。