サイバー犯罪者は、セキュリティリソースが限られている
API(アプリケーションプログラミングインターフェース)は、異なるソフトウェア間で情報を交換したり、機能を共有したりするための規則や仕様のセットを指します。
APIを使用することで、開発者は他のアプリケーションやサービスの機能を自分のプロジェクトに組み込むことができ、複雑なプログラムをゼロから作成する手間を省くことが可能です。
API連携は大きなメリットをもたらすが、問題もあります。
そこでこのブログでは、API連携におけるメリットとデメリットや、APIキーを管理する際のベストプラクティスをご紹介します。
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API連携とは?
API連携とは、異なるシステムやアプリケーション間でAPIを利用してデータをやり取りしたり、機能を連携させたりすることを指します。例えば、よく見かける一般的な例として、Googleアカウントを使用して他社のサービスにログインするSSO(シングルサインオン)認証プロセスの裏側では、APIの技術が活用されています。これにより、他のサービスに新規登録する際、わざわざ情報を入力する必要なく、新しいユーザーは簡単にサービスを利用開始できます。
このようにAPIは開発者によって構築され、他のアプリケーションやサービスとの連携を可能にするため、非常に役立つツールです。
API連携により、システム間の自動化、効率化が進み、ユーザーにとってより良いサービスを提供することが可能になります。また、新たなビジネスモデルやサービスが生まれる基盤ともなります。
APIの仕組み
API連携の基本的な仕組みは、ユーザーからのリクエストに応じてレスポンスが返される方式です。
例えば、顧客がECサイトでクレジットカード決済を行う場合の例で考えてみましょう。
顧客がカード番号や氏名などの情報を入力すると、その情報はクレジットカード会社のAPIに送信されます。そして、クレジットカード会社は決済が承認されるかどうかのレスポンスを返します。承認が下りない場合でも、エラーメッセージなど何らかのフィードバックが必ず返されます。
このシステムの利点は、ECサイト運営者がカード情報を直接扱うことなく、高いセキュリティを維持しつつ顧客のデータを保護できる点にあります。
APIが使われる事例
API連携がどのように実際に行われているのか、仕組みを理解するためによく使われている実例をご紹介します。
SNSでの事例
APIを活用することで、SNSの使用効率が向上し、非常に便利です。多くのSNSプラットフォームは基本的にAPIを無料で提供しており、これが利用を促進しています。そのため、SNSでAPIを利用することは、多くの場面での代表的な例として広く活用されています。
例えば、以下のような内容があります。
- Facebookで投稿した内容をそのままInstagramで投稿する
- LINEペイでお客様が支払い後、そのままLINE予約システムに自動で予約完了
- Xの地域トレンドを自動取得してリサーチに活用
クラウドサービスの事例
多くのクラウドサービスでも、APIの連携がされています。GoogleやMicrosoftなどの多くのソフトウェアにもこのAPIが使用され連携が可能になっています。
・Google Calendar↔️Slackへの通知かつ同期
・Microsoft Teams↔️Microsoft 365 for businessのカレンダーやタスク管理などの同期
小売店でのスマートレジの事例
近年の多くの小売店では、スマートレジを導入しており、これにより販売プロセスが大幅に効率化されています。例えば、顧客が購入する商品をスキャンすると、スマートレジは即座に商品情報をデータベースから取得し、合計金額を計算します。このシステムは、在庫管理システムとも連携しており、売れた商品の在庫をリアルタイムで更新することができます。また、スマートレジは顧客の購入履歴も記録し、これを基に顧客ごとのマーケティングやプロモーションを行うためのデータとして活用されています。このように、スマートレジは小売店の日々の運営をスムーズにし、顧客サービスの向上にも寄与しています。
API連携のメリット
クラウドサービスが普及した今では、API連携は至る所で利用されています。
API連携には多くの利点がありますが、ここでは主要な4つのメリットに焦点を当てて説明します。
1. コスト削減
APIを利用することで、企業は自社で一からシステムや機能を開発する必要がなくなります。既存のAPIを組み込むことにより、開発時間とコストを大幅に削減できるのです。例えば、支払い処理や地図情報サービスなど、専門的な機能をAPIを通じて簡単に統合できます。
2. 新しいサービスを比較的簡単に作成できる
APIはモジュール式の構造を持っているため、既存のAPIを組み合わせることで新しいサービスを素早く立ち上げることが可能です。これにより、自分で一からサービスを立ち上げて開発をしなくてもよくなります。
API統合に関する専門知識が必要になりますが、一から組み立てるよりはハードルが下がります。
3. ユーザーの利便性向上
APIを活用することで、異なるサービス間でのデータのやり取りがスムーズに行われるため、ユーザー体験が向上します。例えば、ソーシャルメディアプラットフォームのAPIを利用して、ユーザーが他のアプリケーションで直接コンテンツを共有できるようにすることができます。
4. セキュリティの向上
セキュリティはAPI設計の重要な側面です。
APIプロバイダーは通常、データの暗号化、アクセス制御、常に最新のセキュリティ標準に準拠することで、セキュリティリスクを管理します。
これにより、APIを利用する企業は、セキュリティ面での負担を軽減しつつ、ユーザー情報の保護を確実に行うことができます。
API連携のデメリット
API連携をすることによって多くのメリットがある一方で、いくつかの潜在的なリスクも伴います。
そのため、APIの連携を実装する際には、セキュリティ、可用性、およびアップデート戦略などの側面にどのように対応するのか戦略を立てる必要があります。
これらの点を適切に管理することで、リスクを最小化しつつ、APIの持つ潜在的な利点を最大限に活用することができます。
サイバーセキュリティリスク
先ほどのメリットでは、セキュリティの向上を指しましたが、それでもサイバーセキュリティは常に進化しているため、API連携に伴うセキュリティリスクは存在します。
APIはあらゆる外部からのアクセスを許可して連携が可能になるため、セキュリティ対策が不十分な場合、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。
適切な認証・認可や暗号化などがされていない場合、機密データへのアクセスがサイバー犯罪者によって不正に行われる可能性があります。
API連携依存によるダウンタイムの可能性
APIを利用することで、そのAPIを提供するサービスの状態に依存するようになります。例えば、外部のAPIが技術的な問題やメンテナンスのために一時的に利用できなくなった場合、これに依存するサービスも影響を受け、ダウンタイムが発生する可能性があります。これは、サービスの信頼性やユーザー体験に直接影響を与えるため、リスク管理が非常に重要になります。
APIの制限
多くのAPIには利用制限が設けられています。これには、リクエストの頻度制限(レートリミット)、機能の制限、データアクセスの制限などが含まれます。これらの制限は、APIを利用するアプリケーションのスケーラビリティや柔軟性に影響を及ぼすことがあります。例えば、あるAPIが一日に受け付けるリクエストの数に制限がある場合、ピークタイムにそのリミットを超えるとサービスが正常に機能しなくなることがあります。このような制限は、運用上の課題を生じさせることもあります。
APIキーや暗号鍵などのシークレット情報の管理にKeeperが役立つ理由
APIキーや暗号鍵といったシークレット情報は、大切な組織の情報でこれを元にサービスが成り立っています。これらの情報が不正アクセスや漏洩から保護されていない場合、企業のセキュリティ体制全体が脅かされる可能性があります。
そこで、どのようなポイントに注意すべきかをご紹介します。
一元化されたシークレット管理が可能
シークレット管理は、IT インフラストラクチャのシークレットを整理、管理、保護するプロセスです。 シークレット管理により、組織はシークレットを安全に保存、送信、監査して、機密情報を保護し、業務が適切に実行されていることを確認できます。
一元化されたシークレット管理プロセスがないと、APIキーのようなシークレットは簡単に管理ミスを起こす可能性があります。
各ユーザーは自分のAPIキーを別々に管理し、秘密鍵は暗号化されていない場所、たとえばアプリケーションやファイルにハードコード化された状態で置いておくことがよくあります。
また、組織や企業は、一元化されたシークレット管理システムを確立し、全員がシークレットを適切に管理していることを確認する必要があります。 一元化されたシークレット管理システムは、組織がすべてのシークレットを特定および監査するのに役立ちます。
組織内の特権を定期的に監査できる
秘密管理ポリシーが実施されていることを確認するために、組織は定期的に特権を監査する必要があります。 適切なユーザーが必要な APIキーにアクセスできるようにし、もはやアクセスする必要のないユーザーを削除する必要があります。 特権を定期的に監査することで、ユーザーが必要以上に高いレベルのアクセスを蓄積してしまう特権クリープを防ぐことができます。 特権クリープは、多くの場合、脅威アクターによる横移動や、内部脅威による特権の悪用につながります。
多要素認証で保護
多要素認証 (MFA) は、アクセスするために追加の認証要素を提供することをユーザーに要求するセキュリティプロトコルです。 組織は、組織内で利用するAPIキーにアクセスするユーザーに対して MFA を適用し、ネットワークにさらなるセキュリティレイヤーを追加する必要があります。 ユーザーがクライアントマシンをサーバーに接続しようとするとき、パスワードや 2FA コードなど、秘密鍵と合わせて追加の認証フォームを提供する必要があります。そのため、APIキーなどのシークレット管理のセキュリティを強化します。
使い回し対策とローテーション管理
APIキーとシークレットキーは、アプリケーションがAPIと安全に通信するために不可欠な要素です。これらのキーを他のサービスでも複数再利用すると、セキュリティが脅かされ、不正アクセスを招くリスクが高まります。
そのため、APIキーを複数のAPI連携をさせる際に、使いまわさずに、プロジェクトごとやサービスごとなどに使い分けることも大切です。その際、複数のAPIキーやシークレットキーを管理するのにシークレットマネージャーのような一元管理ができるサービスが大活躍します。
また多くのクラウドサービスプロバイダー(AWS、Azure、Google Cloudなど)は、APIキーのローテーションをサポートし、セキュリティのベストプラクティスとして推奨しています。
ローテーション管理もしやすくなります。
APIキーのローテーションは、APIを提供するプラットフォームやサービス自身によって管理されることが多いです。例えば、クラウドサービスプロバイダー(AWS、Azure、Google Cloudなど)は、APIキーのローテーションをサポートし、セキュリティのベストプラクティスとして推奨しています。
自動ローテーションはサポートしていないものの、全てのマルチプラットフォームのシークレット情報を安全に保存し、アクセスを管理することでロテーション時も、可視化しやすくなります。
まとめ:KeeperでAPIなどのアクセス管理の手間を減らしセキュリティ強化
シークレット管理の強化は、今日のビジネスにおいて非常に重要です。Keeperを利用することで、企業はAPIキー、暗号鍵、SSHキー、パスワードなどの機密情報を安全に保管し、効果的に管理することができます。
Keeperの先進的なセキュリティ機能と直感的な操作性は、あらゆる規模の組織に適しており、セキュリティ強化のための理想的な選択肢です。
シークレット管理ツールは、特権認証情報、SSHキー、および IT インフラストラクチャで使用されるその他のシークレットのための安全なストレージシステムです。
Keeperシークレットマネージャー (KSM) は、ゼロトラストおよびゼロ知識のシークレット管理ツールであり、暗号化された場所ですべての秘密を一元管理することができます。 KSM を使用することで、企業はシークレットを IT インフラストラクチャに統合し、アクセスをより管理しやすくなります。