企業が保有する重要な情報資産を守るうえで、「アクセス
クラウド環境の導入やテレワークが普及したことによって、VPN(Virtual Private Network)やVDI(Virtual Desktop Infrastructure)を活用したリモートアクセスが急速に広まりました。
これにより従業員は場所を問わず業務を遂行できるようになりましたが、一方で、社内ネットワークへのアクセス経路が多様化したことで、新たなセキュリティリスクも生じています。
特に、適切なアクセス制御が施されていない場合、不正アクセスやマルウェア感染といった脅威に組織がさらされる可能性が高まります。
そこで、このブログでは、リモートアクセスとは何か、その仕組みや、課題、そのソリューションをご紹介します。
リモートアクセスとは?
リモートアクセスとは、従業員がオフィス以外の場所から、企業のネットワークや業務システムに安全に接続する仕組みを指します。
テレワークの普及やクラウド活用の拡大に伴い、リモートアクセスの重要性は急速に高まっています。
一般的には、VPN(仮想プライベートネットワーク)やVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)、また近年ではゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)など、さまざまな技術が利用されています。それぞれ、通信を暗号化する、仮想デスクトップ環境を提供する、アクセスの最小権限を徹底するなど、セキュリティのアプローチに違いがあります。
従来はVPNが主流でしたが、近年はリモートアクセス環境への脅威の増加に対応するため、ゼロトラストモデルを前提としたアクセス管理への移行が進んでおり、サイバーセキュリティのスタンダードになりつつあります。
従来のリモートアクセスの仕組み
リモートアクセスの普及初期には、主にVPNを活用した接続方式が中心でした。VPNは、インターネット上に仮想的な専用線を構築し、社内ネットワークへの安全な接続を可能にする技術です。

この仕組みは、「境界型セキュリティモデル」に基づいています。境界型モデルでは、ネットワークの内側(社内)は信頼できるもの、外側(インターネット側)は脅威があるものと位置づけ、ファイアウォールなどでネットワーク境界を防御する考え方が取られてきました。
しかし、近年のクラウドサービスの拡大やリモートワークの常態化によって、従来の境界型セキュリティモデルは限界を迎えつつあります。
本来、境界型モデルは「ネットワークの内側は安全である」という前提に依存しています。
ところが、現代のサイバー攻撃では、内部不正やサードパーティ経由の侵入といった脅威が常に想定されるため、この前提そのものがリスクとなっています。
リモートアクセスにおけるセキュリティの課題とは?
リモートアクセス環境の拡大により、企業の利便性は向上した一方で、新たなセキュリティ課題も浮き彫りになっています。
ここでは、リモートアクセスに潜む主要なセキュリティ課題について解説します。
攻撃対象領域の拡大
リモートワークやクラウド活用により、企業ネットワークへの接続ポイントが社内外に広がりました。これにより、従来社内に閉じていたネットワークが外部からも多方面に開かれる形となり、攻撃対象領域が大幅に拡大しています。
例えば、自宅のWi-Fiルーター、私物端末(BYOD)、外部の許可されていないクラウドサービスなど、セキュリティ管理の難しい領域が増えることで、攻撃者に狙われるリスクが高まっています。
VPNの限界
VPNは長らくリモートアクセスの主流技術でしたが、現代の環境にはさまざまな限界があります。
一度、VPNで社内ネットワークに接続されると、内部リソースへの広範なアクセスが許可される設計になっていることが多く、万が一認証情報が侵害された場合、組織全体が危険に晒されるリスクがあります。
また、VPNの脆弱をついたサイバー攻撃も増加しており、VPNのみに依存したセキュリティ対策は危険性が高まっています。
特権アカウントの乱用
リモート環境では、管理者権限を持ってている特権アカウントの管理が疎かになりがちです。
適切なアクセス制御が行われていない場合、特権アカウントを持つユーザーが不正に権限を乱用したり、アカウントが乗っ取られたりするリスクが生じます。
特権アカウントの侵害は、システム全体へのラテラルムーブメント攻撃を許してしまうため、被害がランサムウェアなどへと大規模化する恐れがあります。
ログや監査情報の欠如
リモートアクセス環境では、アクセスログやユーザー操作の監査記録が適切に取得・管理されていないケースが少なくありません。
ログが不足していると、不正アクセスやセキュリティインシデントの早期発見が難しくなるだけでなく、インシデント発生後の原因究明や対応も大きく遅れてしまいます。
リモートアクセスを安全に運用するためには、詳細なログ取得と定期的な監査が不可欠です。
ゼロトラストモデルの未整備
まだまだ一部の組織では、未だに境界型セキュリティモデルに依存しており、ゼロトラストセキュリティモデルの導入が進んでいません。
ゼロトラストモデルでは、「すべてのアクセスは疑ってかかり、常に検証する」という前提に基づき、ユーザーやデバイスの認証、アクセス権限の最小化、通信の暗号化を徹底します。
この考え方を取り入れていないリモートアクセス環境は、潜在的な侵害リスクに無防備な状態となりやすく、現代の脅威には対応しきれません。
どのようにPAMがリモートアクセスを手助けするのか?
ここまで紹介してきた、リモートアクセスの課題に対応するために注目されているソリューションの一つが、PAM(特権アクセス管理)です。
ここでは、PAMがどのようにリモートアクセスを安全に支援するのかについて、具体的に解説します。
特権アカウントへのアクセスを可視化・制御
PAMを導入すると、誰が、いつ、どの特権アカウントにアクセスしたのかをリアルタイムで可視化できるようになります。
アクセス状況はダッシュボードやレポートで可視化され、管理者はリモート環境でも不審な行動を即座に把握できる体制を整えることが可能です。
これにより、権限の濫用や内部不正リスクを最小限に抑え、組織全体のセキュリティ透明性と信頼性を大きく向上させます。
最小権限アクセスの原則
PAMは、最小権限アクセス(PoLP)の実践を強力に支援します。
ユーザーごとに業務に必要な最小限のアクセス権限だけを割り当て、それ以上の不要な権限は持たせないよう厳密に制御できます。
たとえば、システム管理者でも日常業務では標準権限しか持たず、特権操作が必要な場合だけ一時的に昇格する運用が可能になったりします。万が一アカウントが侵害されても、侵害できる範囲が狭いため、組織への被害拡大を防ぐ効果が非常に高くなります。
セッションの記録と監査
PAMソリューションは、特権アカウントによるリモートセッションの一部始終を詳細に記録・監査する機能を備えています。記録される内容には、ログイン時間、実施された操作、使用されたコマンド、アクセスしたファイルの履歴などが含まれます。
このようなセッション情報を活用することで、異常な行動をリアルタイムで検知できるだけでなく、万が一インシデントが発生した場合にも確実に証拠を確保し、迅速かつ正確な原因調査を行うことが可能になります。
また、企業が遵守すべき外部規制にも対応するため、セッション記録と監査は欠かせません。たとえば、金融機関や上場企業で求められるアメリカのSOX法(企業改革法)や、情報セキュリティ管理の国際標準であるISO27001などにおいても、ログ管理と監査体制の整備は必須要件とされています。
フィッシングやパスワード攻撃に強力になる
PAMソリューションは、パスワードボルト機能を通じて特権アカウントの認証情報を暗号化・安全に保管します。ユーザーは実際のパスワードを知ることなくシステムにアクセスできるため、フィッシング詐欺やパスワードリスト攻撃(リスト型攻撃)といった典型的な侵害リスクを大幅に低減できます。
KeeperPAMのような次世代型のPAMプラットフォームでは、パスワードの自動ローテーションやゼロ知識アーキテクチャに基づくセキュリティ設計、多要素認証(MFA)の統合にも対応しており、より高い安全性を実現します。これにより、リモートアクセス時の認証強度が飛躍的に向上します。
ゼロトラストセキュリティのサポート
ゼロトラストモデルは、「常に検証」「最小限アクセス」「侵害を想定する」の3原則に基づきます。PAMはこの考え方を自然にリモートアクセス環境に組み込むことを可能にします。
具体的には、アクセス要求ごとにユーザーやデバイスを明示的に認証し、認可された範囲内でのみ操作を許可します。また、行動監視とアクセスログ管理により、ゼロトラストの要件である継続的な監視と検証プロセスも満たせます。
PAMの活用により、ゼロトラストセキュリティモデルへの移行がスムーズに進められます。
システムとの統合性
現代のPAMソリューションは、社内外を問わず多様なIT基盤との連携を前提に設計されています。たとえば、Active Directory(AD)やSSO(シングルサインオン)基盤、Azure ADやOktaといったクラウドIdpプロバイダーと統合することで、既存のID管理環境を活かしたスムーズな導入が可能です。
KeeperPAMのようなクラウドネイティブなPAMソリューションは、従来のVPNやVDIに依存することなく、ゼロトラスト原則に基づいたアクセス制御を実現できます。これにより、ネットワークの境界を問わず、特権アクセスの認証・認可・監査を一元的に管理でき、セキュリティの強化と運用効率の向上を同時に実現します。
まとめ:PAMで組織のリモートアクセスを向上して保護
リモートアクセスの拡大は業務の柔軟性を高める一方で、セキュリティの複雑化や管理負荷の増大といった課題をもたらしています。
こうした状況において、PAM(特権アクセス管理)は、特権アカウントの可視化・制御を通じて、組織のリモートアクセス環境を安全かつ効率的に保護するための有効な手段です。
KeeperPAMのような次世代型のPAMソリューションを導入することで、従来のVPNやVDIに依存せず、ゼロトラスト原則に基づいた安全なアクセス制御を実現できます。
また、Idpプロバイダーやクラウドサービスとの連携、セッション監視やパスワードの自動管理といった機能を活用することで、リモートアクセスに伴うリスクを大幅に低減し、IT運用の効率化にも貢献します。
リモートワークが常態化する今、組織のセキュリティ体制を根本から見直し、柔軟かつ堅牢なリモートアクセス基盤を築くためにも、次世代型PAMの導入は重要なステップとなるでしょう。
まずは、KeeperPAMのデモをリクエストして、あなたの組織のリモートアクセス基盤にどのように役立つのかご覧ください。