データベースアクセスは、エンタープライズセキュリティ
インフラの自動化と分散化が進むにつれて、サーバーやアプリケーション同士が人の操作を介さずに通信する場面が一気に増えました。こうした主体は非人間アイデンティティ(NHI)と呼ばれ、いまや社内システムの中で人間のアカウント数を上回るほどになっています。DevOpsのパイプラインからAIを活用したワークフローまで、NHIはAPIキーや証明書、トークンといったシークレットを使ってシステムにアクセスし、重要な処理を自動で実行しています。
ところが、NHIが担う役割が大きくなる一方で、その保護は後回しにされがちです。このギャップは見過ごせないリスクになりつつありますが、Keeperを使えば組織はこの穴を確実にふさぐことができます。本記事では、NHIがなぜ危険にさらされやすいのか、そしてKeeperPAM®がどのようにそれを守るのかを順に解説致します。
非人間アイデンティティ (NHI) とは何か、そしてなぜ重要なのか
非人間アイデンティティとは、その名のとおり、人間の介在なしにITシステムとやり取りする主体のことです。アプリケーションをデプロイし、データにアクセスし、複数の環境をまたいで接続し、自動化されたタスクを大規模に実行します。具体的には、次のようなものが身近な例として挙げられます。
- クラウドインスタンスを払い出すスクリプト
- ワークフローを管理するボット
- マイクロサービスを動かすKubernetesコンテナ
- ストレージや計算資源に接続する機械学習 (ML) エージェント
- サービスアカウント(バックアップ処理や他システムとの連携を担うもの)
NHIは企業の運用に欠かせない存在ですが、従来のアクセス制御は、いまの機械が認証し通信するやり方を前提に設計されてはいませんでした。ここに、人間のアカウントとは異なる固有の課題が生まれます。
非人間アイデンティティが増大するサイバーセキュリティリスクになる理由
クラウドネイティブ、DevOps、AIを軸とした環境では、NHIの数が人間のユーザーを上回ることも珍しくありません。しかも人間のアカウントと違い、入社時のような体系立った登録や認証、アクセス権の整理といった手続きを踏まないまま運用されることがほとんどです。
これが問題になります。NHIが攻撃者にとって価値の高い標的になっているのには、次のような理由があります。
- 可視性の欠如:その場の必要に応じて作られたり、自動化処理の中で使われたり、インフラの深い場所に埋め込まれたりするため、存在を忘れられやすく、監視も難しくなります。
- 静的でハードコードされた認証情報:初期パスワードや長期間有効なトークン、ソースコードに直接埋め込まれたシークレットを使っているケースが多く、攻撃者にとって格好の侵入口になります。
- 過剰で恒常的な権限:きめ細かなアクセス制御がないために、必要以上に広い権限を持ち、セッションの時間制限もないまま放置されがちです。
- 監視の手が届かない:従来のIDおよびアクセス管理 (IAM) ツールは人間のIDを前提にしているため、NHIは正式なガバナンスの枠組みから外れてしまいます。
その結果、攻撃者はこうした守りの薄いIDを狙って権限を昇格させ、横方向に移動し、システム内部に長期間ひそみ続けようとします。
NHIのセキュリティにおけるシークレット管理とPAMの役割
NHIを守る出発点は、その必要性とリスクが人間のユーザーとは根本的に異なると認識することです。NHIは画面 (UI) からログインするわけでも、いわゆるパスワードを入力するわけでもありません。シークレットやトークン、そして機械同士の認証に頼って動いています。
そこで効いてくるのが特権アクセス管理(PAM)とシークレット管理です。この二つを組み合わせることで、NHI特有の課題に正面から対応できます。
- シークレット管理は、APIキーやSSHキー、証明書、トークンといった機微な認証情報を安全に保管し、ソースコードから切り離して守ります。これらのシークレットは必要なときだけ渡され、利用者やシステム、時間によってアクセス範囲を絞り込めます。
- PAMは、誰がまたは何がシステムにアクセスできるのか、どのように本人確認を行うのか、どの操作を許可するのかを定義します。最小権限を自動で適用し、特権を伴う活動を漏れなく可視化します。
従来のIAMソリューションは、ユーザーのプロビジョニングやシングルサインオン (SSO) には強いものの、機械同士のワークフローに対するアクセス制御や認証情報のローテーション、可視性が欠けています。KeeperPAM®は、ジャストインタイム (JIT)アクセス、シークレットの安全な保管、監査性を提供することでこのギャップを埋めます。いずれもNHIに対するゼロトラスト戦略に欠かせない要素です。
KeeperPAMによる非人間アイデンティティの保護
KeeperPAMは、シークレット管理、PAM、そしてゼロトラストの考え方を一つにまとめ、クラウドやDevOps、ハイブリッド環境をまたいでNHIを包括的に保護します。具体的なしくみを見ていきましょう。
DevOpsパイプラインのためのシークレット管理
Keeperシークレットマネージャーは、CI/CDパイプラインや自動化ワークフロー全体でシークレットを守るために設計されています。開発者が認証情報を手作業で管理したりソースコードに埋め込んだりする代わりに、Keeper Secrets ManagerはJenkinsやGitHub Actions、Terraformといったツールへ実行時にシークレットを注入します。認証情報は暗号化され、必要なときだけ取り出され、平文で保存されることも人間の目に触れることもありません。
Keeper Secrets ManagerはSDK、CLI、REST API経由で連携できるため、DevOpsチームはセキュリティやコンプライアンスを犠牲にすることなく、完全な自動化を実現できます。
サービスアカウントへのジャストインタイム (JIT) アクセス
KeeperPAMは、必要なときだけ、あらかじめ決めた時間の範囲でサービスアカウントや自動化システムにアクセスを払い出し、タスクが終われば自動で権限を取り消します。これにより長期間有効な認証情報そのものが不要になります。常時付与されたアクセス権がなくなることで、攻撃対象となる領域を大きく減らせます。さらにKeeperは必要最小限の権限 (JEP)も適用し、機械のIDが特定のタスクや機能を果たすうえで本当に必要な最小限のレベルだけを受け取るようにします。クラウドリソースへのアクセスでも、データベースへの問い合わせでも、権限は役割や環境、ポリシーに応じてきめ細かく絞り込まれます。
JITとJEPを組み合わせることで、NHIは過剰な露出を避けながら効率よく動けます。これは、コンテナのオーケストレーションやCI/CDパイプライン、短命なインフラのように、セキュリティが自動化のスピードに追いつかなければならない動的な環境ほど重要になります。
非人間アカウントの認証情報ローテーション
認証情報の散在と常時付与されたアクセス権は、NHIで最もよく見られる脆弱性の二つです。KeeperPAMは、サービスアカウントやデータベース、インフラのシステムに対してパスワードの自動ローテーションやSSHキー、アクセス認証情報の更新を自動で行うことで、この両方に対応します。ローテーションのポリシーはスケジュール実行にもイベント起動にも設定でき、複雑さの要件や役割ベースのルールも組み込めます。
ゼロトラストアーキテクチャとセッションの分離
インフラへのアクセスは、人間によるものでもNHIによるものでも、すべてKeeper Gatewayを経由して仲介されます。Keeper Gatewayは、エンドツーエンドで暗号化されたトンネルを張るゼロトラストのアクセス層です。この方式なら、ファイアウォールのポートを開けたり従来型のVPNに頼ったりする必要はありません。機械同士の接続を含むすべてのセッションは、分離したうえで記録し、後から人手でレビューしたり、セキュリティ情報イベント管理 (SIEM) プラットフォームへ送ったりできます。KeeperはSSH、RDP、VNC、HTTPS、各種データベースプロトコルのセッションログに対応しています。
ロールベースアクセス制御 (RBAC) とポリシーの適用
KeeperPAMはRBACを機械のIDにも広げ、サービスアカウントやコンテナ、自動化ツールをまたいで最小権限を徹底できるようにします。シークレットは個々のレコードやフォルダ、アプリ単位まで絞り込めます。時間帯による制限やIPフィルタリング、多要素認証 (MFA) の強制といったアクセスポリシーによって、それぞれのIDが本当に必要なものだけにアクセスできる状態を保ちます。NHIのすべての活動はログに記録され、SIEMプラットフォームへエクスポートできるため、異常の検知や監査要件への対応がしやすくなります。
クラウドインフラとのネイティブ連携
KeeperはAWS、Azure、Google Cloudと直接連携し、クラウドネイティブなシークレットと非人間アクセスを保護します。組織はクラウド環境全体のIAMユーザーやロール、サービスアカウントを検出して管理し、その認証情報を安全に保管できます。マルチクラウドやハイブリッド環境で使われるシークレットは一元化され、人間のアクセスと同じポリシー管理のもとで守られます。これにより、セキュリティ運用を効率化し、認証情報が分散してしまう状態を解消できます。

KeeperPAMでマシンによるアクセスを掌握する
非人間アイデンティティが減っていくことはなく、その数と重要性はむしろ増す一方です。NHIを守るには、その場しのぎの対策をつなぎ合わせるだけでは足りません。KeeperPAMは、シークレットを管理し、最小権限を徹底し、環境内のあらゆるIDにゼロトラストのアクセスを届けることを可能にします。
IT環境のすべての非人間アイデンティティを保護することで、KeeperPAMがどのようにリスクを下げるのかは、実際のデモのお申し込みを通じてご確認いただけます。