SOAP API とは?

Simple Object Access Protocol API (SOAP API) は、インターネット経由で複数のアプリケーション間通信を実現するウェブサービスプロトコルです。XMLベースのメッセージ形式を採用し、データの送受信に関する厳格な仕様を定義しています。そのため、安全性と信頼性の高い通信が不可欠なエンタープライズシステムにおいて広く使用されています。

SOAP APIの仕組み

SOAP APIは、HTTP、HTTPS、SMTPなどのインターネットプロトコルを介して、XMLで記述されたメッセージを送受信することで機能します。すべてのリクエストとレスポンスは、Web Services Description Language (WSDL) によって定義された厳格な仕様に準拠し、WSDLには対応する操作、メッセージ形式、データ型が明示されています。

SOAP APIは、書留郵便を送ることに例えられます。郵便物 (データ) は、正しく定義された封筒 (SOAP構造) に収められ、厳格な配送ルールに従う必要があります。この厳密な仕組みにより、SOAP APIは、標準化された通信によって機密データを保護することが重要な高セキュリティ環境に適しています。

SOAP APIの主な機能

SOAP APIは、厳格な構造と、異なるシステム間でも動作する互換性の高さが評価されています。以下は、SOAP APIがエンタープライズ環境において有力な選択肢とされる主な特長です。

  1. XMLベースの厳格なメッセージング: すべてのデータはXML形式で記述され、各メッセージはWSDLで定義されたスキーマに従う必要があります。これにより、システム間の通信に一貫性が確保されます。

  2. 言語・プラットフォーム非依存: SOAP APIは、さまざまなプログラミング言語やオペレーティングシステムに対応しており、多様な技術環境で利用するのに適しています。

  3. 組み込みのエラー処理機能: レスポンスには詳細なエラーコードや説明が含まれるため、開発者は問題を迅速に特定し、効率的に解決できます。

  4. ステートレス/ステートフル両対応: SOAP APIは、過去のリクエスト情報を保持しないステートレスな処理と、セッションデータを保持するステートフルな処理の両方を、システム要件に応じて実装可能です。

  5. プロトコル非依存: SOAP APIは、HTTPをはじめ、SMTPやTCPなど複数の通信プロトコル上で動作可能で、用途に応じた柔軟な通信構成を実現できます。

SOAP APIとREST APIの違い

SOAP APIとREST APIは、いずれもネットワークを介してシステム間の通信を可能にしますが、そのアプローチには違いがあります。

SOAP APIREST API
メッセージ形式
XMLのみを使用JSON、XML、HTML、プレーンテキストなど複数の形式に対応
プロトコル
プロトコル非依存 (HTTP、SMTPなどで動作)HTTPベースのみ
スタイル
Focuses on the messageFocuses on the message
処理速度
厳格なフォーマットを採用しているため比較的遅い軽量なデータ形式を使用するため比較的高速
状態管理
ステートレスおよびステートフル処理の両方に対応基本的にステートレス
活用事例
エンタープライズ向けアプリケーション、金融機関、政府機関に最適モバイルアプリ、公開API、ウェブアプリケーションに最適

前述のとおり、SOAP APIは、封をした手紙を郵便サービスで送るようなものです。安全性が高く、正式なルールに従って確実に届けられますが、処理に時間がかかる場合があります。一方、REST APIはテキストメッセージを送るようなもので、高速かつ手軽に利用できますが、一般的にはSOAP APIほど厳格なセキュリティは備えていません。

SOAP APIを利用する際のリスク

SOAP APIは高いセキュリティを備えていますが、すべてのユースケースに適しているとは限らず、特に変化の速い環境では課題となる場合があります。以下は、SOAP APIを利用する際に考慮すべき主なセキュリティリスクです。

  • APIコールのキャッシュに非対応: SOAP APIはREST APIと異なりキャッシュがサポートされておらず、パフォーマンスの低下やサーバー側の負荷の増大を招く可能性があります。

  • 実装が複雑: SOAP APIは、厳格な構造とWSDLへの依存により、REST APIと比べてテストやデバッグに高度な理解が求められます。

  • 処理が遅く、柔軟性に欠ける: SOAP APIはXMLベースのメッセージングと厳格なガイドラインを採用しているため、REST APIと比べて処理速度が遅く、柔軟なデータ形式を重視するアプリケーションには不向きな場合があります。

SOAP APIを利用するメリット

SOAP APIは、構造が複雑で厳格である一方、エンタープライズ環境において多くの利点があります。機密データを保護する高いセキュリティ、分散した業務環境における信頼性、そして組み込みのエラー処理機能などがその代表例です。

機密データに対する高いセキュリティ

SOAP APIは、WS-Securityをはじめとする堅牢なセキュリティ標準をサポートしており、メッセージレベルでの暗号化や安全なトークン管理を可能にします。これにより、機密情報の安全な送受信とコンプライアンス要件への対応が求められる金融業界政府機関で広く利用されています。

分散した業務環境における高い信頼性

SOAP APIは、複数のネットワーク、プラットフォーム、地理的に分散した環境間で、さまざまなサービスが連携する必要のあるエンタープライズレベルの分散システムに適しています。プロトコル非依存であるため、HTTPだけでなく、SMTPやTCPなどのプロトコルを通じてデータを送信でき、柔軟な通信を実現します。

組み込みのエラー処理機能

SOAP APIは、エラーコードや人が理解しやすい説明を含む構造化されたメッセージを返します。これにより、開発者は問題を迅速にデバッグでき、障害の特定と修正が容易になるため、システム全体の信頼性向上にもつながります。

SOAP APIの主な利用例

SOAP APIは、高いセキュリティ、厳格なデータ転送、複数のサービス間での信頼性の高い通信が求められる多くの業界やシステムに適しています。以下は、SOAP APIが実際に活用されている代表的なユースケースです。

銀行送金処理

銀行送金では、複数の金融機関や決済処理システムが連携して処理を行います。そのため、システム間でデータを安全かつ標準化された方法でやり取りできるSOAP APIがよく利用されます。たとえば送金処理では、口座情報の確認、残高の照会、取引の実行といったウェブサービスの呼び出しが行われます。SOAP APIの厳格なメッセージ形式により、これら一連の処理が確実に実行され、トランザクションエラーやデータ漏洩のリスク低減につながります。

航空券の予約

フライト予約では、複数のウェブサービスが連携し、空席状況の確認、価格取得、決済処理などを段階的に実行します。これらの処理は、航空会社のシステムや外部のベンダーによって分担されている場合があります。SOAP APIは、マルチステップ処理やステートフルなセッション管理をサポートできるため、支払い中の予約保持や、価格・空席情報の正確性維持に適しています。

ナビゲーションおよび物流システム

物流企業は、複数の外部ソースから気象情報や交通情報などのリアルタイムデータを取得する必要があります。SOAP APIは、複数のウェブサービスから信頼性高くデータを収集できるため、こうした用途に適しています。たとえば、配送会社では地図システムや最新の道路状況のデータを活用して最適なルートを算出しつつ、安全なデータ交換を実現するためにSOAP APIが利用されます。

今すぐ購入